セバージョス首相、新内閣の政策方針を発表

(ペルー)

リマ発

2019年11月13日

9月30日に就任したペルーのビセンテ・セバージョス首相は10月30日、大統領府での記者会見で、新内閣の政策方針を発表した(表参照)。会見には各閣僚や、県知事、市長など地方自治体関係者、企業団体、労働組合関係者などが招待された。

セバージョス首相は会見で、2018年からマルティン・ビスカラ大統領の現政権が取り組んできた未完の政治・司法改革の達成を約束した。教育や健康、安全など社会インフラの整備では、2009年に策定された失業者やインフォーマル就労の人でも非被雇用者向け保険(SIS:Seguro Integral de Salud)へのアクセスを可能とする制度(Aseguramiento Universal en Salud)のさらなる推進や、被雇用者向けの公的健康保険であるエスサルー(Essalud)の充実策を発表した。また、鉱業分野の税還元公共事業(Obras por Impuesto)(注)を通じて、農村地域の電力配電網を構築し、2021年までに国内の電気普及率を95%にすること、炭化水素分野では2021年までに6県で150万世帯に天然ガスを届ける整備計画についても言及した。

一方で、投資額が約160億ソル(約5,280億円、1ソル=約33円)に相当する867件の公共事業については、短期間で再開するための緊急令を内閣が発動したと述べた。特に、交通分野では日立製作所のグループ会社も参加する都市交通リマメトロの2号線の事業で、優先的に2021年までの5駅を稼働させるとした。また、2021年までにホルヘ・チャベス国際空港の第2滑走路と管制塔の建設を完了させると表明した。

企業活動の面では、3月に経済財政省が国会に提出し、審議が先延ばしにされていた、企業間のM&Aを事前に審査し、過度な事業支配力の集中を規制する通称M&A管理法についても、緊急令で施行することを発表している。

労働者の待遇面でセバージョス首相は、国家労働委員会を通じて最低賃金の定期的な見直しを行うための緊急令の発動を提案し、2020年の第1四半期(1~3月)中に最低賃金の改定案を提出する意向を明らかにした。国民の実態生活コストにより見合うための調整としているが、フリオ・ベラルデ中央準備銀行(BCR)総裁は「最低賃金の引き上げは必ずしも経済活性化につながらない」と述べるなど、慎重な取り扱いを求める発言が出ている。

表 経済面での主要政策

(注)自治体や公的機関(省庁を含む)が発注する公共事業を請け負うことで所得税の減免を受けられる制度。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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