ユーラシア経済連合(EEU)と中国の貿易経済協力協定が発効

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア、中国)

欧州ロシアCIS課

2019年11月08日

ユーラシア経済委員会(EEC)は10月25日、ユーラシア経済連合(EEU)と中国の貿易経済協力協定が全参加国の批准手続きを終え、発効したと発表した。協定は2018年5月17日のアスタナ経済フォーラムで署名されていた(2018年5月18日記事参照)。

この協定は貿易円滑化に向けた各種措置や通関、知的財産保護などにおける情報交換・通知、両者間の協議などを規定しており、特恵関税適用をはじめとする関税引き下げを想定したものではない。貿易の技術的障害(TBT)、衛生植物検疫措置(SFS)などで高いレベルの透明性を確保するほか、根拠のない貨物リリースの遅延の防止や、腐りやすい製品の通関手続きの加速化、知的財産保護に関するEEU加盟国の輸出者の権利保護なども規定している。

具体的には次のとおりで、13章で構成されている。a.一般規定(最恵国待遇、内国民待遇、例外規定など)、b.透明性の確保、c.貿易措置、d.TBT、e.SFS、f.税関協力・貿易円滑化〔課税標準価格、HSコード分類、リスク管理、製品の1次輸入、生鮮品、貨物リリース、税関協力、追加資料要求、認証機関、通関代理人、IT適用、統一窓口、国境管理の調整、認定事業者(AEO)の相互認証、税関インフラの開発、事前教示、税関協力・貿易円滑化分科会の設置〕、g.知的財産権〔著作権・隣接権、商標、周知商標、商標登録、地理的表示・原産地名称、特許性、強制ライセンス、発明・実用新案、意匠、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)、電子特許申請、集積回路配置利用権、遺伝資源・伝統的知識・フォークロア、植物の新品種、不正競争防止、税関措置など〕、h.競争、i.政府調達、j.産業協力、k.電子商取引(EC)(電子認証、電子書類の使用、EC消費者保護、個人情報保護など)が盛り込まれている。

EECのベロニカ・ニキシナ貿易担当相は協定の発効について、「EEU加盟国と中国との間の貿易経済体制の整備への重要なステップ」と評し、税関協力やTBT、SFS、貿易措置、電子商取引、知財保護などを含む貿易取引の広範な問題に対し、質の高い法令基盤を形成するものと述べた。

協定には、農業やエネルギー、輸送、産業、技術、イノベーション、情報・通信インフラ、金融、環境などの分野での産業協力が明記されており、共同プロジェクトの開発・実現に向けた産業別対話の創設と、協力推進に向けた方法も盛り込まれている。

(齋藤寛)

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア、中国)

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