中銀、急速なキャッシュレス化に関するレポート発表

(スウェーデン)

ロンドン発

2019年11月21日

スウェーデン中央銀行は11月7日、スウェーデン人の支払い傾向に関する「スウェーデン人はこのように支払いをした(2019年)」というタイトルのレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。それによると、2018年の調査時点で、スウェーデン人の4割弱が最近1カ月間に現金を全く使わなかったと回答したとしている。現金離れは急速に進んでおり、支払い方をみると、最も多いのはカード利用で全体の58%を占めている。直近の実店舗での支払いで現金を使った人は13%とあり、現金を持ち歩かない習慣が既に多くのスウェーデン人に定着したことがわかる。

スウェーデン小売・卸売業者連盟(Svensk Handel)のレポート「スウェーデンの販売業者はいつ現金を受け取らなくなるか」(2018年1月発表)によると、現在は97%の小売業者が現金を受け取っているが、それが2020年に75%、2025年には50%になる可能性を指摘している。

中銀は、急激なキャッシュレス化は支払いのデジタル化が進んだことにある、としている。特に、スマートフォンの決済・送金アプリケーションのスウィッシュ(Swish)の利用拡大が著しい。最近では請求書にもスウィッシュ決済用QRコードを載せる企業が増えている。中銀の調査では、2018年に10人中7人がスウィッシュを使用しているとの結果も出ている。

国内のモバイルブロードバンドの利用可能地域が拡大していることに加え、12歳以上の人口の90%にスマートフォンが普及したことも、スウィッシュの利用拡大に寄与している。

一方、こうした状況に取り残される人が出る懸念も高まっている。高齢者や新規移民、障害者などデジタル決済へのアクセスに困難を覚える人々のために、現金での支払いを保証する(支払い場所を確保する)義務が県にあり、それぞれ県レベルで対応している。

また、政府は9月26日に「金融機関が現金サービスを取り扱う義務について」(Skyldighet för kreditinstitut att tillhandahålla kontanttjänster)という法案を国会に提出した。700億クローナ(約7,700億円、1クローナ=約11円)を超える貸付金を持つ金融機関に対して、全国で現金サービスを提供し続けることを義務化するとしている。2021年1月1日の施行を目指している。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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