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ブラジル政府、対外共通関税率引き下げ合意を見送り、アルゼンチン新政権の出方を見極めへ

(ブラジル、メルコスール、アルゼンチン)

サンパウロ発

2019年11月18日

ブラジル政府は、12月4、5日にブラジル南部リオグランデ・ド・スル州ベント・ゴンサルベス市で開催予定のメルコスール首脳会談までに、対外共通関税率(TEC)の引き下げ合意を目指していたが、それを断念したもようだ。

2019年下半期のメルコスール議長国を務めるブラジルは、首脳会談までにTEC引き下げについて加盟4カ国(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)で合意し、2020年1月から4年間、6年間、もしくは8年間かけて段階的に、品目に応じてTEC引き下げを目指していた。

この引き下げ案は、2019年1月に発足したブラジルのボルソナーロ政権の経済自由化・市場開放政策の重要アジェンダの1つ。過度に保護された国内産業の生産性を向上させるため、ブラジル市場の開放度を他国と同等レベルにすることを目的としている。しかし、ブラジルは関税同盟であるメルコスールに加盟しているため、加盟4カ国共同で域外共通の関税を設定しており、一部一定枠で認められる例外品目を除き、独自に輸入関税を変更することができない。

このため、ブラジル政府は2019年初から事務レベルでウルグアイ、パラグアイ両国と1万品目以上に及ぶTEC引き下げについて協議し、品目全体の8割まで合意に至った。これにより、ブラジル政府は工業製品分野で現行の輸入平均関税率13.6%を6.4%まで引き下げることを見込んでいる。一方、アルゼンチン政府は引き下げ方法に疑問を呈し、これまでに対象品目リストの提示も行わなかったもようだ。

ブラジル政府は開放路線を堅持するが、現時点でアルゼンチンのマクリ現政権との合意を断念し、12月10日に発足するアルベルト・フェルナンデス新政権のTEC引き下げに関するスタンスを見極めた上で対応を模索することにしている。

しかし、アルゼンチンで復活する左派ペロン党の新政権は、国内産業保護の観点からTEC引き下げに抵抗することが予想されている。

当地の報道によると、もしアルゼンチン政府がTEC引き下げ自体に反対する場合、ブラジル政府は当初、メルコスールからの脱退を選択肢の1つとして検討していた。現在最も有力な打開策は、メルコスールを現在の関税同盟ではなく、「メルコスール・フレックス」と呼ばれる自由貿易地域(自由貿易協定)にする方針を想定している。自由貿易協定であれば対外共通関税の必要がなくなり、独自に輸入関税を設定できるようになるからだ。

(大久保敦)

(ブラジル、メルコスール、アルゼンチン)

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