第42回日米南東部会の分科会では人材育成などについて議論

(米国)

アトランタ発

2019年11月07日

米国ジョージア州サバンナで10月22、23日に開催された日米南東部会の分科会の報告。パネルディスカッションでは、ロジスティクスや、進出日系企業にとっての課題となっている人材確保・育成に関する活発な議論が交わされた。

第1セッションでは、ロジスティクス上の環境問題や新たなビジネスモデルへの対応について、パネリストが各社の取り組みや見解を示した。丸紅アメリカコーポレーションの稲尾圭吾氏は、環境問題への対応として、食品の運搬に関して適切な温度管理を実現することで腐敗や廃棄を防ぐ取り組みや、ディーゼル燃料から電気自動車への転換に向けた取り組みを紹介した。UPSのデリック・ジョンソン氏は、持続可能な社会に貢献するために、2025年までに陸上配達燃料の40%を天然ガスなど代替燃料に転換すること、2020年までに年間購入車両の25%を代替燃料あるいは最先端テクノロジー車両に転換を図ることを説明した。

YKKコーポレーションアメリカのジェシカ・コルク氏は、ファストファッションの台頭により繊維廃棄物が増えている現状を踏まえ、リサイクルできる原材料の使用や、水を使用しない染料工程を開発するなど、製造工程で環境問題解決に貢献する態勢を整えていると強調した。

ジョンソン氏は、eコマースビジネスの発展により、消費者が幅広い商品を選択することが可能となり、かつ即日配達を求めるようになっているため、大きい倉庫から効率的かつ小さい倉庫へと倉庫の需要も変化していると紹介した。

労働力不足に対する新たなソリューションとして、稲尾氏とジョンソン氏は自動化も提案。稲尾氏は自動車部品配送向けの無人車自動運転実現に向け、2019年からテストを開始したこと、ジョンソン氏は倉庫の自動化に加えて、ドローンでの配達がノースカロライナ州にて実施された例を紹介した。

第2セッションでは、トーヨータイヤコーポレーションのジェームズ・L・ホーク氏、三菱日立パワーシステムズノースアメリカマニュファクチャリングのサム・サトル氏が、いずれもジョージア州の人材育成支援プログラムであるクイック・スタートが非常に役に立ったとコメント。ホーク氏は教材や機材など、トレーニングに必要となるものを全て無償で提供してもらうことができ、拠点設立後15年たった今もなお、トーヨータイヤにとって最適のサポートと語った。サトル氏も、精密溶接と機械加工に詳しい人材が十分に確保できなかった中で、既存社員、新規社員いずれの教育においても、10年にわたり同プログラムにサポートしてもらっていると述べた。

(石田励示)

(米国)

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