米議会、つなぎ予算を可決し12月20日まで政府閉鎖を回避

(米国)

ニューヨーク発

2019年11月22日

米国上院は11月21日、政府を運営するためのつなぎ予算を可決し、政府機関の一部閉鎖が12月20日まで回避された。現行のつなぎ予算は11月21日が期限となっており、それまでに新たなつなぎ予算が可決されなければ、11月22日から政府機関の一部が閉鎖される予定だった。

11月19日に下院で可決されたつなぎ予算案を受けて、上院は賛成74票、反対20票で同予算案を可決した。つなぎ予算案は、11月21日中にトランプ大統領の署名を経て成立した。これにより、政府機関の一部閉鎖は12月20日まで延期されたが、それまでに共和、民主両党が正式な2020会計年度(2019年10月~2020年9月)にかかる12の政府予算法案について合意ができる見通しは立っていない。最大の対立点は、トランプ大統領の公約でもあるメキシコとの国境沿いでの壁を建設するための予算の扱いだ。

壁の建設費用は、下院の予算案には全く含まれていない。一方、上院の予算案では、国土安全保障省の運営予算に壁の建設費用50億ドルが含まれており、かつ追加的に36億ドルを国防予算から配分できる内容となっている。

下院で予算法案を所管するニタ・ローウィ歳出委員長(民主党、ニューヨーク州)は壁について、「予算案で合意するためには、上院共和党は重要な国内の事業を犠牲にして無駄な壁建設の費用に固執することをやめるべきだ」と発言している(「ニューズウィーク」誌電子版11月21日)。他方、上院のリチャード・シェルビー歳出委員長(共和党、アラバマ州)は「われわれは引き続き、壁について交渉が必要だ」としており(政治紙「ロールコール」電子版11月20日)、新たなつなぎ予算の期限である12月20日まで、残された約4週間で両党が歩み寄れるか、見通しは不透明な状況だ。

(磯部真一)

(米国)

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