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憲法裁、選挙立候補資格違反で新未来党党首の議員資格を剥奪

(タイ)

バンコク発

2019年11月29日

タイ憲法裁判所は11月20日、新未来党(注)の党首タナトーン氏の議員資格を剥奪するとの判決を下した。選挙管理委員会は2019年3月、同氏が、憲法第98条3項に定める選挙立候補資格に反し、メディア会社の株式を保有していた疑いがあるとして、同氏を告発。同年5月、憲法裁判所が選挙管理委員会の訴えを受理し、同氏の議員資格は停止されていた。

タナトーン氏は、選挙管理委員会の告発に対し、同メディア会社の株式は、総選挙立候補届け出の前に母親へ譲渡したと反論していたが、憲法裁判所は、同氏が立候補時にメディア株式を保有していたと結論付け、憲法違反との判決を下した。これに伴い、裁判所は下院議長に対し、同氏に代わる新たな議員を選出するよう命じた。

タナトーン氏は比例代表からの選出であるため、新未来党から次点の候補者(比例代表名簿51番目)、マーノップ氏の選出が確実視されており、現在の議席数に変動はない。また、タナトーン氏は議員資格剥奪後も党首にとどまることができるため、現時点での影響は限定的との見方が大勢だ。議員資格が剥奪されたとしても、補欠選挙や地方選挙に立候補することもできる。

しかし、本件の余波は広がりをみせそうだ。選挙管理委員会は憲法裁判所の判決を受け、タナトーン氏本人が、自身に議員の資格がないことを知っていながら選挙に立候補したことが、下院選挙の適正・公正な実施を定める、下院議員選挙法第151条に違反するとして、調査を開始した。仮に、同氏が下院選挙法第151条に違反した場合、20年間の投票権剥奪と罰金刑が科されることになる。また、投票権を有しない者は、憲法第98条4項により、下院議員に立候補することができない。憲法起草委員会の元顧問のシェード氏は「下院議員法第132条にも抵触する可能性があり、政治活動そのものが禁止される可能性もある」と述べている(「バンコク・ポスト」紙11月21日)。

憲法裁判所は現在、32人の野党下院議員についても調査中としている。タナトーン氏の判決が先例となるかは不透明だが、仮に、下院議員が企業の事業内容を熟知しないで株式を保有していた場合であっても、メディア企業と判断されれば、同氏と同様に議員資格を剥奪される可能性がある。

(注)新未来党:2019年3月24日総選挙の実施数カ月前に結党。改革派で、ソーシャルメディアなどを通じて自党の政策を有権者に浸透させた。支持者の多くは若年層だ。反軍政の立場を明確にし、野党に加わった。現在、下院で80議席を有しており、野党第2党の勢力を誇る。

(ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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