フランス車の販売低迷続く、長安シトロエンは合弁解消か

(中国)

上海発

2019年11月19日

中国の1~9月の自動車販売台数が前年同期比10.3%減となる中、フランスメーカーの自動車販売も低迷している(2019年10月24日記事参照)。

こうした中、長安汽車は11月1日、プジョー・シトロエン(PSA)との合弁企業である長安シトロエンの全持ち分に当たる50%の株式を譲渡し、合弁の解消を計画しているとの報道があり、動向が注目されている(「新京報」11月1日)。

ルノーは2022年に中国での販売台数を55万台とする目標を掲げている。2018年は約22万台を販売したものの、その大部分は合弁先の華晨雷諾(ブリリアンスルノー)ブランドによるものだった。ルノーグループ全体の中国での販売台数について、2019年上半期は前年同期比24%減、ルノー東風の合弁による販売台数も2019年1~8月で73%減となっている(「オートモーティブニュースチャイナ」10月1日)。

PSAは中国で2014年に73万台以上を販売したが、2018年には約25万台、2019年上半期には6万4,000台と大きく落ち込んでいる。これにより、同社は中国メーカーとの合弁工場の売却や従業員の一時解雇を準備しており、東風汽車との合弁工場の稼働率は22%、長安汽車との合弁工場の稼働率は1%にも満たない状態とされている(「フィナンシャル・タイムズ」紙7月29日)。

フランス車の販売低迷には、中国ではフランス車が高級ブランドだと認識されていないことが影響しているという意見がある。毎年、インターブランド社が世界のブランド価値をランキングした「ベストグローバルブランド」を発表している。2019年の上位100位に、フランスのファッション関連ブランドは多数ランクインしているが、自動車ブランドはない(表1、2参照)。フランス車の販売低迷は、質ではなくブランドイメージの問題とも考えられる。

表1 「ベストグローバルブランド」にランクインしたフランス企業(2019年)
表2 「ベストグローバルブランド」にランクインした自動車メーカー(2019年)

2019年の上海モーターショーでは、PSAの高級車ブランド「DS」が高級感をアピールした出展を行った。引き続き高級車販売が好調な中国市場で巻き返しが図れるか注目される。

写真 2019年4月に開催された上海モーターショーでのDSのブース(ジェトロ撮影)

2019年4月に開催された上海モーターショーでのDSのブース(ジェトロ撮影)

(高橋大輔)

(中国)

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