新エネルギー車販売が3カ月連続減少、新興メーカーの苦戦続く

(中国)

上海発

2019年10月24日

中国汽車工業協会(CAAM)の発表(10月14日)によると、9月の中国の自動車販売台数は前年同月比5.2%減の227万1,000台と、2018年7月から15カ月連続で前年実績を割り込んだ。景気減速と米中貿易摩擦が消費者マインドを下押ししたほか、一部地域で前倒しで実施された排ガス規制基準の厳格化が自動車の販売低迷に拍車をかけた。1~9月の自動車販売台数(1,837万1,000台)は前年同期比10.3%減となった。

一方、上半期に好調だった新エネルギー車(NEV)の販売も前年同月比減に転じた。9月の販売台数は34.2%減の8万台と3カ月連続で減少している(表1参照)。1~9月のNEV販売合計台数は87万2,000台だったが、このうち、電気自動車(EV)が27.8%増の69万2,000台、プラグインハイブリッド車(PHV)が0.8%減の17万9,000台、燃料自動車(FCV)が8.6倍の1,251台となった。

表1 中国の新エネルギー車(NEV)の販売台数

中国のNEV市場は、中央政府と地方政府による補助金政策によって急拡大してきたが、2019年6月末から地方政府の補助金が廃止されたほか、中央政府の補助金も半減された。補助金削減の背景には、中国企業による補助金への依存が深刻化し、グローバル市場に立ち向かうだけの競争力の獲得に結び付きにくい状況が指摘されている。補助金の削減により7月のNEV販売台数は前年同月比でマイナスとなった。CAAMも2019年のNEV販売目標を年初の160万台から150万台に下方修正している(「証券日報」10月15日付)。

苦戦が続く新興NEVメーカー

NEV市場に参入する新興メーカーが林立しているが、上位ランクに食い込んだ企業は上海蔚来汽車(NIO)や小鵬汽車(Xpeng Motors)などにとどまり、従来のエンジンメーカーが牛耳る構図となっている(表2参照)。新興メーカーのほとんどは自社工場を持たず、多額の資金を継続的に調達する必要がある。市場の低迷や政府による補助金の減額・廃止などにより、今後はさらなる苦戦が続くと考えられる。

表2 2019年9月のメーカー別新エネルギー車(NEV)販売台数

(劉元森)

(中国)

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