1~9月の直接投資は製造業が牽引、韓国が巻き返す

(ベトナム)

ハノイ発

2019年11月19日

ベトナム外国投資庁によると、2019年1~9月の対内直接投資(認可ベース、2019年9月20日時点の速報値)は、新規・拡張の合計で3,796件(前年同期比25.6%増)となり、過去最多を記録した前年を上回る勢いだ。認可額は157億6,315万ドル(19.9%減)と、不動産やライフラインの大型案件が少ないことが影響して前年同期を下回ったが、製造業は堅調に伸びた。

製造業は1,574件(21.4%増)、123億8,530万ドル(28.1%増)と件数・認可額ともに、対内直接投資を牽引した(表1参照)。小売り・卸売りは912件(54.6%増)と件数の増加が著しい。ベトナムの経済成長、製造会社の進出増加に合わせ、国内市場での取引拡大を狙った販売会社の設立が増えている。

表1 業種別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年1~9月)

国・地域別では、韓国が1,164件(10.0%増)、32億9,052万ドル(26.9%減)で、件数・認可額ともに首位となった(表2参照)。韓国は今期、2億ドルを超える新規の大型投資案件はないが、製造業を中心に新規、拡張ともに堅調な推移をみせている。日本は認可額で韓国に次ぐ2位、件数で韓国、中国に次ぐ3位となった。日本については、シャープが南部のビンズオン省に空気清浄機、液晶ディスプレー、電子デバイスなどの生産工場の設立を決めるなど、製造業の投資額が大きい。2019年に入って認可額が急増していた中国は、第3四半期(7~9月)の投資が伸びず、3位に後退したが、件数・認可額ともに前年同期を大きく上回っている。

表2 国・地域別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年1~9月)

省・市別の認可額では、ビンズオン省が19億6,184万ドル(79.5%増)で首位となった(表3参照)。上位3省・市は南部が占めたが、僅差で北部のバクニン省、ハイフォン市が続いた。件数では、ホーチミン市が1,165件(24.3%増)で首位、ハノイ市が778件(41.5%増)で2位となり、この2大都市への投資が過半を占めた。

表3 省・市別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年1~9月)

(庄浩充)

(ベトナム)

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