地域に広がる外資によるイノベーション創出、ジェトロが対日投資報告2019発表

(日本)

対日投資課

2019年11月28日

ジェトロは11月27日、「ジェトロ対日投資報告2019」(注1)を発表した。5回目となった今回の報告は、副題を「地域に広がる外資によるイノベーション創出」とし、注目される外資系企業によるイノベーション創出の事例や、在日外資系企業向けアンケート調査(注2)の結果などを紹介している。

対日直接投資残高は30兆円の大台に

2018年の対日直接投資フロー(国際収支ベース、ネット)は2兆9,000億円で、比較可能な1996年以降でみると、2016年に次いで過去2番目の規模だった。2018年末の対日直接投資残高は30兆7,000億円となり、5年連続で過去最高を記録した。残高を地域別にみると、欧州が49.5%、北米が21.8%、アジアが19.2%、その他の地域が9.5%だった。2019年も残高は堅調に伸びており、2019年第2四半期(4~6月)末の残高は33兆円(一次推計値)だった。

地域や日本の利点に着目してビジネス展開する事例を紹介

今回の報告は地域や日本の利点や社会課題に着目し、イノベーションを通してビジネス展開を行う事例を紹介している。福島県会津若松市は、総合コンサルティング企業のアクセンチュアなどとともに、「スマートシティ」の取り組みを進めてきた。人口減少が進む中で、同市には市街地と過疎地が混在し、社会実証実験を展開するのに適した地域だという。これまでに30件以上の実証実験が行われ、母子手帳の電子化による予防接種予約の通知など、約20件のプロジェクトが実用化に至っている。

外資系企業の7割が日本でのオープンイノベーションに前向き

ジェトロによる在日外資系企業向けアンケート調査によると、日本企業・大学などとのオープンイノベーションに対する取り組み状況について、20.6%の企業が「既に実施したことがあり、今後も継続・拡大する」、52.0%が「実施したことはないが、関心がある」と回答し、7割以上の企業が前向きな姿勢であることが分かった。この調査では、過去1、2年で「外資に対する日本企業・社会の受け入れ姿勢」が改善していると回答した企業が4割以上だった。日本企業や社会の変化に伴い、今後より一層、外資系企業と日本企業や大学などとのオープンイノベーションの事例が増えることが期待される。

「ジェトロ対日投資報告2019」および過去の報告の本文・概要は「ジェトロ対日投資報告」ページを参照。

(注1)ジェトロ対日投資報告:日本の対内直接投資の動向や、政府およびジェトロの対日投資促進に向けた取り組みについてまとめた報告書。2015年度から毎年発行している。

(注2)在日外資系企業アンケート調査:日本の投資環境について、在日外資系企業を対象としたジェトロによるアンケート調査。6月から7月にかけて実施し、入手した外資系企業213社の回答を基に分析した。

(長崎勇太)

(日本)

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