ファーウェイ、5G整備への参画意向を大統領に表明

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年11月21日

ブラジルのジャイル・ボルソナーロ大統領は11月18日、ファーウェイ・ブラジル代表事務所CEO(最高経営責任者)のウェイ・ヤオ氏と面談後、同CEOがブラジルでの第5世代移動体通信システム(5G)の整備に参画したい意向を伝えたことを明らかにした。

ブラジルでは、2020年下半期に5G周波帯の入札が見込まれている一方、ブラジル市場においても5G機器納入業者をめぐるセキュリティー上の問題が懸念されている。ブラジルで2019年1月に誕生したボルソナーロ政権は、米国との関係回復を進める一方、トランプ米政権は国家セキュリティーを脅かしかねないとして、華為技術(ファーウェイ)を排除するよう圧力をかけている。

ボルソナーロ大統領は、同社が5Gに関する提案を説明したわけではなく、単に同社はブラジルでの活動を説明しブラジルでの5G参画を望む意向を私は聞いただけだ、と語った。また、5G入札に関しては何も言及しなかったものの、韓国企業もブラジル5G整備に参画する条件を備えているとして、入札は最も優れたオファーを行うものが落札する、とも述べ、さらに、われわれは供給サイドの状況と新技術の両面を見ないといけない、と語り、どのような企業が入札に参加するか注視する考えを示している。

ボルソナーロ大統領は、2018年に実施された大統領選挙で当選した当時から、中国を警戒する発言が目立った。また、2019年1月の政権発足当初は、同政権を支える保守派グループを中心に、米国やイスラエルとの関係強化を目指してきた。しかし、中国はブラジル最大の輸出相手国で、かつ重要な投資受け入れ相手国でもあることから、ボルソナーロ政権を支える軍人グループや議員グループの働き掛けもあって、ブラジル外交方針は徐々にバランス外交に転換している。2019年10月のボルソナーロ大統領の訪中時には、保守派グループからも対中警戒論は影を潜めた。

ファーウェイ・ブラジルCEOとの面談は、11月14~15日に行われたBRICS首脳会談のためにブラジルを訪れた習近平国家主席との首脳会談直後というタイミングだった。11月18日付「フォーリャ・デ・サンパウロ」紙は、中国側はブラジルにおける新規投資に対して最低5つの公的ファンドが1,000億ドル以上を供与する用意があると報じている。

ブラジル政府は、ファーウェイに対する対応方針は保留にしつつ、優れたオファーを行う企業を待つ姿勢を維持しており、今後どのような企業が5G入札参加への関心を公式に表明してくるか注目される。

(大久保敦)

(ブラジル)

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