ゼロカーボン法案が可決、2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロへ

(ニュージーランド)

オークランド発

2019年11月29日

アーダーン連立政権が発足当初から目標に掲げていた「気候変動対応修正法案(ゼロカーボン法案)」が11月7日、ニュージーランド国会において可決された。同法案では、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(注1)とする枠組み(生物由来のメタンガスを除く)を定める。

具体的には、政府から独立した気候変動委員会(CCC)を設置し、政府はCCCの提言を受けながら5年ごと(注2)に関連予算を組み、計画を策定する。畜産や廃棄物から発生する生物由来のメタンガスについては、2030年までに2017年比で10%減、2050年までに24~47%減の目標を掲げる。

ACT党の党首1人を除き、野党を含め全ての議員が賛成票(全120議席中の119議席)を投じた。他方、最大野党の国民党(55議席)のサイモン・ブリッジズ党首は、2020年の国会選挙を見据え、政権を奪取した場合には、本法案の改正を示唆しており、選挙の行方も注目される。

2017年11月に発足したアーダーン政権は、これまで気候変動への対応として、「2028年までに年間1億本、計10億本の植樹を行う」「2018年10月から沖合での石油ガス探査事業の新規認可を停止する」「2035年までに電力に占める再生可能エネルギー比率を100%にし、水素やバイオ燃料分野への投資を進める」などの施策を打ち出してきた。本法案は、環境施策を進める上での基幹となりそうだ。

(注1)実質ゼロとは、森林などに吸収された炭素とバランスがとれるレベルまで、温室効果ガスの排出を削減することで、カーボン・ニュートラルを指す。

(注2)2022年から2025までは4年間。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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