電動スクーター、歩道での利用を禁止、禁錮刑も
(シンガポール)
シンガポール発
2019年11月14日
シンガポール陸運庁(LTA)は11月4日、翌5日から電動スクーター(eスクーター)を全ての歩道で利用禁止にすると発表した。これにより、電動スクーターの利用はサイクリング路のほか、国立公園庁(Nパークス)管轄の公園緑地をつなぐ緑道「パークコネクター」、自転車歩行者専用道のシェアードパースに限られる(注1)。
今回の規制対象は、個人用移動機器(パーソナルモビリティーデバイス、PMDs)のうち、ハンドルと電動モーターを備えたもの(注2)。違反した場合は最高2,000シンガポール・ドル(約16万円、Sドル、1Sドル=約80円)の罰金と、3カ月の禁錮刑が科される可能性がある。規制導入の準備期間として、11月5日から12月31日までは違反者に対し警告処分とし、2020年1月から全面的に罰則を適用する予定だ。LTAは2017年2月にアクティブ・モビリティ―法を国会で可決して以来、電動スクーターを含むPMDsの歩道、サイクリング路、パークコネクター、シェアードパースでの利用を解禁していた。しかし、近年、PMDsによる死亡を含む事故や違反が多発していたことから、安全対策の見直しを行い、歩道での利用禁止に踏み切った。
また、LTAは最近のPMDsの相次ぐ事故を受けて、予定していた電動スクーターのシェアリング・サービスのライセンス付与を停止すると発表した。既存の電動スクーターのライセンス申請を却下するとともに、今後の通知までライセンス募集を行わないとしている。これを受け、配車サービスのグラブ(Grab)は、同社が展開する電動スクーターのシェアリングビジネスを11月5日から段階的に停止していくと発表、11日現在ではサービスを止めている。
フードデリバリーサービスへの影響に懸念
今回の規制に伴い、電動スクーターなどを利用したフードデリバリーサービスへの影響が懸念されている。「ストレーツ・タイムズ」紙(11月4日)によると、シンガポールには約7,000人もの電動スクーターを利用したフードデリバリーサービスの従事者がいるとされ、その半数以上を占めるのがGrabの展開するグラブ・フード(Grab Food)だ。Grabは利用者向けに、配送時間の遅延への理解を求めるメッセージを送っており、配送の遅れやキャンセルなどが想定される。
(注1)走行可能なサイクリング路はLTA提供のMyTransport.SG、パークコネクターはNパークスのウェブサイトを参照。
(注2)各PMDsの利用可能な場所の詳細はLTAのウェブサイトを参照。
(南原将志)
(シンガポール)
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