再選挙で中道左派の与党が勝利するも、過半数には大きく及ばず

(スペイン)

マドリード発

2019年11月12日

スペインで連立政権交渉の決裂(2019年9月25日記事参照)により11月10日にやり直し総選挙が実施外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされ、与党・社会労働党(PSOE)が再び第1党になったものの、上下院ともに議席を減らし、過半数には大きく届かなかった。

カタルーニャ問題再燃で、極右が第3党に躍進、急進独立派が国政に初進出

下院(定数350)の選挙結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、与党PSOEが120議席と、2019年4月の前回総選挙から3議席減らした一方、最大野党・民衆党(PP)は議席を3割回復して88議席となった(表参照)。

カタルーニャ独立運動を主導した州幹部への有罪判決をきっかけに、同州で大規模な抗議行動が起こり、今回も独立問題が再び大きな争点となった。

その中で、独立主義政党の非合法化を公約するなど、独立運動に強硬に反対する極右新興政党ボクス(Vox)が議席を倍以上伸ばして第3党に躍り出た。他方、カタルーニャやバスク州などの民族主義政党のプレゼンスも拡大し、カタルーニャ州の急進独立派の人民連合(CUP)が初めて国政に進出。独立問題をめぐるスタンスで票が極端に振れた。

この変化の打撃を最も受けたのは市民党(C’s)だ。前回は反独立票や中道票を集めて躍進したが、ペドロ・サンチェス政権への協力を拒否し、右派層での勢力拡大を図ったことが裏目に出て、PPやボクスなどに票が大量に流れて議席が激減。サンチェス政権との連立交渉が決裂したポデモスも、分派政党の議席を含めても前回より1割ほど議席を減らした。

新議会は12月3日招集、再び政権樹立交渉へ

しかし、右派ブロック3党(PP、Vox、C’s)は合計150議席と前回からあまり変わらず、右派への政権交代の可能性はまずない。他方、与党PSOEとポデモス党、民族主義政党との組み合わせによる連立政権交渉は、カタルーニャ問題が再燃する中で以前よりも混迷を深めるとされる。PSOEは上院での過半数も失っており外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、議会運営はさらに厳しくなる。

当地の2大紙は11日付の社説で、「挙国一致政権を目指すべき」(「エル・ムンド」紙)、「最低限の合意でとにかく政権の樹立を」(「エル・パイス」紙)として、最大野党PPとの政権合意を主張している。「エル・パイス」紙によると、サンチェス首相(PSOE)は選挙結果を受けて、「全ての政党は寛大さと責任感を持って、膠着(こうちゃく)状態の打開に取り組んでほしい」と暗にPPへの協力を呼び掛けており、PPのパブロ・カサード党首は「サンチェス首相次第」として交渉の余地をわずかに見せた。

12月3日に新議会が招集、議長などの執行部が選任され、政権樹立に向けた再交渉が始まる。

なお、今回は人口減に悩む内陸テルエル県で、過疎対策を求める地域団体が2大政党を抑えて初議席を獲得。スペインでも地域再生が重要課題となりつつあることが印象付けられた。

表 下院総選挙の結果(過半数176議席、投票率69.9%)

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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