セルビアとユーラシア経済連合とのFTA締結、セルビア首相は歓迎

(セルビア、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

ウィーン発

2019年11月08日

セルビアとユーラシア経済連合(EEU)との自由貿易協定(FTA)が10月25日に締結された(2019年11月7日記事参照)。署名式にEEU首脳とともに臨んだセルビアのアナ・ブルナビッチ首相は、今回のFTA締結はセルビアにとってより活発な経済成長、企業の競争力向上、市民生活の向上など、大変重要で意義あるものだと述べた。また、FTA交渉を成功裏に収めたEEU加盟国に感謝の意を表明するとともに、1億8,300万人の市場がセルビアに開放されたとも語った。セルビアはこれまで、EEU加盟国のうちロシアとベラルーシ、カザフスタンとそれぞれ個別のFTAを結んでいたが、今回のFTAはそれに代わるもので、他のEEU加盟国のアルメニアとキルギスも加わり、1億8,300万人の市場をカバーする。2018年のセルビアのEEU5カ国との貿易総額は34億ドルで、セルビアからの輸出額は11億ドル、輸入額は23億ドルだった。

セルビアは既にEU、欧州自由貿易連合(EFTA)、トルコとFTAを、EU非加盟の旧ユーゴスラビア諸国、アルバニア、モルドバとは中欧自由貿易協定(CEFTA)を締結している。

一方、セルビアはロシアとも友好的な関係を保ち、ウクライナの領土保全をめぐりEUが発動した対ロシア経済制裁に同調していない。EU内部には、セルビアEEU・FTAがEUの外交・安全保障政策に整合するかを疑問視する向きがあり、セルビアのEU加盟交渉が進展する中でEUがこのFTAを問題視する可能性がある。EUのスポークスパーソンはウェブニュースサイトのEURACTIVに対し、「セルビアが外交政策をEUの共通外交・安全保障政策に漸進的に整合させることを期待する。交渉状況を注視し、定期的な政治・通商対話の中でセルビア当局とこの協定について協議する」と述べた。

(鈴木秀男)

(セルビア、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

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