不動産ファンド最大手フィブラ・ウノ、74のレンタル工場を買収

(メキシコ)

メキシコ発

2019年11月22日

メキシコの不動産投資ファンド最大手のフィブラ・ウノ(Fibra Uno)は11月14日、工業団地開発大手フィンサ(FINSA)から、北東部を中心に同社が開発した74のレンタル工業施設(工場・工業団地)を買収する契約を締結したと発表した。合計で126万2,457平方メートルに及び、取得額の8億2,200万ドルは中南米における2019年の不動産取引額としては最大となる。

フィブラ・ウノは2011年に設立され、メキシコ証券取引所(BMV)に上場されたメキシコ最初の不動産投資信託(FIBRA)。2019年第2四半期(4~6月)時点の資産総額は2,436億5,800万ペソ(1兆3,645億円、1ペソ=約5.6円)と中南米最大で、2位のブラジルの不動産投資ファンドBRモールズ(brMalls)の3.4倍に相当する。今回の買収により、フィブラ・ウノの総賃貸面積(GLA)は874万4,632平方メートルから1,000万7,089平方メートルとなり、賃貸物件の数も537件から611件に拡大する。

フィブラ・ウノのゴンサロ・ロビーナ社長によると、この取引は賃貸物件のポートフォリオ(商業施設、オフィス物件、工業施設)のバランスを望ましいかたちにする目的があり、設立当初に重視していた工場物件の重要性を拡大することを狙う。現時点のネット賃貸収入の分野別内訳は、小売施設が45%、工業施設が24%、オフィス物件が20%、その他が11%だったが、買収後は小売施設40%、工業施設32%、オフィス物件18%、その他10%となる。

外国ブランドの重要な提携先に

フィブラ・ウノは商業(小売り)、工業、オフィスなど幅広い不動産賃貸物件に投資しているが、フィブラ・ウノと提携して店舗や施設の数を拡大している外資系ブランドがある。商業施設では、日本人デザイナーと中国の若手起業家により2013年に東京で設立された日用品小売りチェーンのミニソー(MINISO名創優品)がある。MINISOは2016年末にメキシコに進出し、現時点で150店舗以上を持ち、2019年末時点で国内180店舗の運営を目指す。勢いよく店舗を増やす背景には2017年秋のフィブラ・ウノと提携があり、フィブラ・ウノが出資する商業施設で次々と店舗を開設している。2019年第2四半期時点のフィブラ・ウノの商業施設は国内に346件、総賃貸面積は329万4,700平方メートルに及ぶ。オフィス物件では、米国のコワーキングスペース運営のWe Workがフィブラ・ウノと組んでいる。We Workは2016年末にメキシコに進出したが、2008年秋にフィブラ・ウノと提携してコワーキングスペースの数を倍増させ、10月末時点で国内3都市の28物件で10万平方メートルを超えるスペースを提供している。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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