貿易産業省、自動車産業への新優遇政策を検討

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月25日

フィリピン貿易産業省のラモン・ロペス長官は、包括的自動車産業振興戦略(CARS)プログラムとは別の、国内自動車産業に対する新たな優遇(インセンティブ)政策を検討していることを明らかにした、と11月18日付の地元各紙が報じた。ロペス長官は検討中の新たなインセンティブ政策の詳細は明らかにしなかったが、東南アジアで最も高いとされる電力コストへの補助金や、実績に基づいてインセンティブを付与する契約形態を想定しているとした。

既存のCARSプログラムは、前政権のベニグノ・アキノ政権が2016年に打ち出した国内での自動車生産を補助するプログラムで、国内で新規に生産される四輪自動車3モデルを対象に、2016年から6年間で1モデル90億ペソ、総額270億ペソ(約567億円、1ペソ=約2.1円)を支援するもの。ただし、6年間で1車種20万台の生産を行うこと、部品製造のための新規投資または共用検査施設を設置すること、重量ベースで50%以上を国産化することなど厳しい条件を課したこともあり、トヨタ自動車と三菱自動車の2社のみが申請し、270億ペソのうち90億ペソ分の予算が執行されない見込みだ。

貿易産業省は今2019年11月に入り、輸入完成車に対するセーフガード発動に向けた調査の申請を受理したと発表した(2019年11月14日記事参照)。セーフガード発動のための調査の実施を申請した労働組合「フィリピン・メタルワーカーズ・アライアンス(PMA)」は、2014年に15万3,000台だったフィリピンの完成車輸入が2018年に20万7,000台に増加したとし、国内生産や輸出のための新たなインセンティブプログラムが必要だと主張していた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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