ドゥテルテ大統領、酒類や電子たばこの増税法案早期可決を求める

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月21日

フィリピンのドゥテルテ大統領は11月12日、下院を8月に通過し、現在上院で審議されている酒類および電子たばこ製品の物品税増税法案の早期可決を求めるレターを上院に提出したと発表した。11月12日付の地元各紙が報じた。

背景には、2月に署名したユニバーサルヘルスケア法がある。フィリピンの全国民をフィリピン医療保障公社(フィルヘルス)の健康保険に加入させ、国民皆保険制度(ユニバーサルヘルスケア)を実現しようとするものだ。今回のレターは、国民の医療サービス拡充に向けた国民皆保険制度の適正な実施のためにも財源を確保する必要があるからだ。

フィリピン財務省は、酒類および電子たばこ製品の物品税増税法案の成立により、2020年に479億ペソ(約1,054億円、1ペソ=約2.2円)の財源を確保し、591億ペソ不足しているとされる国民皆保険制度の予算に充当する。また、同法によって、2020年から2024年までの5年間で3,569億ペソの財源が確保できると試算している。

酒類および電子たばこ製品の物品税増税法案は、酒類については小売価格の20%の物品税を蒸留酒に、1リットル当たり43ペソから600ペソの物品税をビール、ワイン、蒸留酒に課す。また、電子たばこ製品については、1箱45ペソから60ペソを課す。

そのほかにも、ドゥテルテ大統領は国民の健康増進に向けてさまざまな政策を打ち出している。2017年には公共スペースでの喫煙を禁止する大統領令を発出、2018年1月には肥満や糖尿病など生活習慣病の予防を目的として、それまで非課税だった加糖飲料に物品税を導入。高果糖コーンシロップ(HFCS)を含む飲料には1リットル当たり12ペソが、HFCS以外の甘味料を使用した飲料は6ペソが課されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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