野党の上院副議長が暫定大統領就任を宣言、モラレス前大統領は非難

(ボリビア)

リマ発

2019年11月15日

エボ・モラレス氏が大統領を辞任してメキシコに亡命したボリビアでは、議会上院のジャニネ・アニェス・チャベス副議長が11月12日、上院と下院それぞれの特別会議を招集した。

目的は、11月10日に辞任を表明したモラレス氏とアルバロ・ガルシア・リネラ副大統領の辞任を認める裁決と、野党・民主統一党のアニェス上院副議長を上院議長に選出した上で暫定大統領として承認することだった。だが、上院では36議席のうち与党・社会主義運動党(MAS)が25議席、下院も130議席のうちMASが88議席を占めている。さらに、反対派による迫害を恐れた与党議員の多くが招集に応じなかったため、上下院とも定数不足で会議は非成立となった。それを受けて、アニェス氏は、憲法第169条と170条を根拠にして、暫定大統領に自ら就任すると宣言。169条にのっとって、90日以内に新たに大統領選挙を行うことを表明した。

一方、モラレス前大統領はツイッターで、暫定大統領の就任宣言については、与党の大半の議員が反対派のバリケードにより参加を妨害され、上下両院いずれも定足数に満たず、今回の就任宣言は憲法違反でありクーデターだと非難した。他方で、10月の大統領選で2位だったカルロス・メサ候補は自身のツイッターで、アニェス氏への祝福のコメントを出している。

ボリビアでは依然としてモラレス支持派のデモ活動も続いており、事態は予断を許さない状況だ。

(設楽隆裕)

(ボリビア)

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