国連機関とフィリピン保健省、非感染性疾患でGDP4.8%の経済損失と発表

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月11日

世界保健機関(WHO)と国連開発計画(UNDP)、国連機関間タスクフォース(UNIATF)、フィリピン保健省(DOH)(以下、4機関)は10月28日、がんや心臓病、糖尿病、脳卒中、慢性呼吸器疾患といった非感染性疾患によって、フィリピンではGDPの4.8%に相当する年間7,565億ペソ(約1兆6,643億円、1ペソ=約2.2円)の経済損失が発生しているとの声明を発表した。

4機関は、フィリピンにおける死因の68%は非感染性疾患によるものであり、たばこ、アルコール飲料、過剰な塩分を含む食品の消費を削減するために、今後15年で総額289億ペソの投資を行えば、3,777億ペソの経済効果を創出できるとした。また、塩分摂取を削減する政策により16万4,251人、運動促進政策により5万8,397人、たばこ消費削減政策により5万7,872人の命を救うことができると試算した。

フィリピンでは、酒類などのアルコール製品や電子たばこ製品に対する物品税増税を定める法案(2019年9月4日記事参照)や、国内で販売する食品にナトリウムが含まれる場合、パッケージにナトリウム含有量やナトリウムの過剰摂取が人体に与える悪影響を明記することを義務化する法案(2019年10月21日記事参照)が今国会で審議されている。

DOHのフランシスコ・デュケ長官は、フィリピン政府が審議を進めるシンタックス(酒、たばこといった人体に悪影響を及ぼす可能性がある物品への課税)法案が非感染性疾患を予防する大きな一手となると説明した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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