保健省、塩分を含む食品への課税を検討

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月06日

フィリピン保健省(DOH)のエリック・ドミンゴ次官は10月30日、塩分を含む食品への課税を検討するための調査を世界保健機関(WHO)とともに実施していることを明らかにした。

同次官は、過剰な塩分摂取によってフィリピン国民は高血圧や心臓病、腎臓病、胃がんに罹患(りかん)しており、塩分を含む食品に課税することで、フィリピン国民はより健康な食品を選ぶことになり、食品メーカーもより健康な商品を製造するようになるとし、課税の正当性を主張した。さらに、「課税方法の詳細は決定していないが、2018年1月に実施した加糖飲料への課税と同様の方法になる」とした(注)。

ウィン・ガチャリアン上院議員は11月1日、塩分を含む食品への課税に賛成するとしながらも、「ダイン(魚を干したフィリピン料理)やインスタントヌードルといった庶民の生活に根差した食品については、本当に課税する必要があるのかよく検討するようDOHに依頼している」と説明した。

WHOなどは10月28日、がん、心臓病、糖尿病、脳卒中、慢性呼吸器疾患といった非感染性疾患により、フィリピンではGDPの4.8%に相当する年間7,565億ペソ(約1兆6,643億円、1ペソ=約2.2円)の経済損失が発生しているとの声明を発表した。塩分摂取を削減する政策により16万4,251人の命を救われると試算している。

なお、7月下旬に始まった国会で、国内で販売する食品にナトリウムが含まれる場合、パッケージにナトリウムの含有量やナトリウムの過剰摂取が人体に与える悪影響を明記することを義務化する法案が審議されている(2019年10月21日記事参照)。

(注)高果糖コーンシロップ(HFCS)を含む飲料には1リットル当たり12ペソ(約26円、1ペソ=約2.2円)、HFCS以外の甘味料を使用した飲料は6ペソが課されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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