チリ政府はCPTPP承認法案を最優先取り組み事項から除外

(チリ)

サンティアゴ発

2019年11月22日

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)法案が11月5日、チリ上院の最優先取り組み事項から除外された。従来、チリ政府は同協定の早期批准へ向けて積極的な働き掛けを行っていた。2019年1月から、同法案を最優先取り組み事項として審議しており、10月28日には上院で法案承認のための投票が予定されていたが、実施は見送られた。今後の投票実施のめどは立っていない。

チリ政府は除外理由として、反政府デモによる国内情勢悪化により、APEC首脳会議と国連気候変動枠組み条約第25回締約国会合(COP25)のチリ開催が中止となったことに加え、国内状況を改善するための「社会アジェンダ」と呼ばれる政策(2019年10月31日記事参照)の法案可決を優先することを挙げている。

同法案の審議を担う外交委員会の一員である、ホセ・マヌエル・オサンドン上院議員は「われわれは国内の状況を優先し、公の秩序の下に社会的平和を取り戻さなければならない。併せて国民に具体的な方針を示し、優先課題を議論するための場を議会に設けなければならない」とコメントした(「プルソ」紙11月14日)。

(岡戸美澪)

(チリ)

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