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デモが各地に拡大、チリ政府は社会アジェンダを推進し沈静化図る

(チリ)

サンティアゴ発

2019年10月31日

チリでの地下鉄運賃引き上げに端を発した抗議活動(2019年10月29日記事参照)は、サンティアゴ市で10月7日に始まり首都圏州に広がった後、チリ各地に飛び火した。サンティアゴ市の南西に位置するコンセプシオン市、国内有数の貿易拠点であるバルパライソ市などでもデモが行われ、一部の集団が暴徒化して放火、略奪、破壊行為に至った。最終的に、南部のアイセン州を除く全ての州において緊急事態宣言が発令され、国民の政府に対する不満がチリ全土で爆発した格好となった。軍による外出禁止令は一部の州や市に限定されていたものの、サンティアゴが所在する首都圏州では7日間連続で発令されるなど、事態収拾に時間を要した。なお、28日にはチリ全土で緊急事態宣言、外出禁止令ともに解除されている。

社会アジェンダは10項目

ピニェラ大統領は、一連のデモによる国民感情の高まりを鎮めるために、内閣の大幅改造(2019年10月29日記事参照)に加え、弱者救済や格差是正などを目的とした「社会アジェンダ」と呼ばれる政策を発表した。「社会アジェンダ」には以下の10項目が含まれている。

  1. 年金制度改革
  2. 医療制度改革
  3. 最低所得の保証
  4. 電気料金の値下げ
  5. 高所得層の税金引き上げ
  6. 犯罪行為による被害者支援オフィスの設置
  7. コムーナ〔注1〕間の所得格差是正
  8. 議会および行政に関する改革
  9. 緊急性の高い法案を対象とする議会での審議迅速化
  10. 暴動により被害を受けたインフラの再建計画

10月24日にはピニェラ大統領が電気料金安定化法案に署名しており、2019年下半期における平均9.2%の電気料金の値上げを取り消し、再生可能エネルギーの導入と今後見込まれる通貨チリ・ペソの対ドルレート上昇により、2021年以降の電気料金の引き下げを進めるとしている。また翌25日には、年金改革法案に署名した。法案には、高齢者向けの連帯基礎年金(PBS:Pensión Básica Solidaria)〔注2〕の20%分とPBSに追加で支給される連帯付加年金(APS:Aporte Previsional Solidario)の20%分の即時増額、75歳以上の年金受給者への2020年、2021年における基礎年金とAPSの追加の増額、中産階級と女性の年金貯蓄を補うための追加財政支出捻出、非健常者と認定される高齢者の年金を改善するための財政資源の捻出が含まれている。

〔注1〕コムーナとは、国の地方行政の基本単位のこと。

〔注2〕1981年の年金改革以前の年金制度および確定拠出型の個人勘定年金からの年金給付がない場合に、チリ居住者に支給される年金。

(岡戸美澪)

(チリ)

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