2018年8月~2019年7月のアマゾン森林伐採面積、前年同期比29.5%増
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年11月20日
ブラジル国立宇宙研究院(INPE)は11月18日、2018年8月~2019年7月のアマゾン森林伐採面積が前年同期比29.5%増の9,762平方キロと発表した。衛星による法定アマゾン森林伐採監視プロジェクト(Prodes)の下で計測されており、ブラジル連邦政府の公式統計となる。多発する森林火災がどの程度影響したのか、公式統計の発表が注目されていた。Prodesでは、米国ランドサット人工衛星や、インド、英国、日本の衛星による画像解析を行い、8月~翌年7月の年統計としている。
今回の森林伐採面積は、1万2,911平方キロを記録した2008年に次ぐ規模となる。2008年以降、面積は減少傾向で2012年には4,571平方キロまで低下したが、その後は反転し年率平均11.4%で増加している。
サレス環境相は18日、2012年からの伐採面積増加は、大方は非合法的な経済活動によるとの見方を示した。また、アマゾン地域には持続可能な経済開発が必要なものの、伐採に対してはさまざまな手段を講じる必要があり、連邦政府と州政府で早急に具体策を話し合うとしている。
環境保護グループや専門家らは、伐採面積の増加率が拡大したのは明らかで、政府による伐採抑制の具体策を求めている。
INPEではProdes以外に、中国とブラジルが共同運用する衛星CBERS-4とインドのIRS衛星による画像解析を用いて、2004年からアマゾン森林伐採面積の速報値データを公表している。2015年からはDeter-Bと呼ばれるシステムで計測された伐採面積も発表している。両データは、ブラジル国内で違法伐採を取り締まる環境再生可能天然資源院(IBAMA)による監視を支援している。
INPEではこのほか、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)と共同で「テーハ・クラス」と呼ばれるランドサットによる画像解析で、土地利用変化に関する統計を不定期年に公表している。
INPE以外では、非営利団体IMAZON(アマゾン人間環境研究所)が毎月発表するSAD(伐採警戒システム)というアマゾン森林伐採面積統計があるほか、グーグルと各大学・研究機関が運営する「マップ・バイオマス」と呼ばれる土地利用変化に関する年統計がある。
(大久保敦)
(ブラジル)
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