ロシア中銀、大幅利下げで主要政策金利を6.5%に

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年11月11日

ロシア中央銀行は10月25日の理事会で、主要政策金利(1週間物入札レポ金利)を0.5ポイント引き下げ、6.5%とした。中銀理事会での主要政策金利引き下げは前回の9月6日(2019年9月10日記事参照)に続き2019年で4回目。6.5%となるのは2014年3月以来。12月13日に開催予定の理事会でのさらなる引き下げの可能性も示唆している。

予測を上回るインフレの減速化、期待インフレ率の低下、ロシア経済の伸び悩みに加え、世界経済低迷のリスクが残る中、短期的ディスインフレのリスクがインフレ高進のリスクを上回ることから、中銀は年間インフレ率予測を2019年については4.0~4.5%から3.2~3.7%引き下げ、現行の金融政策に鑑み、2020年度内のインフレ率は3.5~4.0%、その先も4%ほどが続くとの見方を示した。

今回の利下げについて、スコルコボ・NES(新経済学院)のオレグ・シバノフ教授は「インフレが減速傾向にある中で、中銀の今回の措置は極めて適切。減速傾向が著しい場合、金利引き下げは直ちに必要だ。ただし、こうした措置が有効なのは、インフレ予想が下方傾向にある場合に限られ、通貨ルーブルがこうした低金利に反応するかは疑問だが、米国連邦準備理事会(FRB)の金利引き下げを考慮するならば、状況は中立的となろう」と指摘した。

また、大手行VTBのロシア・CIS部門のアレクサンドル・イサコフ首席エコノミストは「予想外と言うべきはインフレ予測の修正規模であり、過小評価されたインフレ予測には2018年の過大評価と同様の読みが必要だろう」としている。

大手行ズベルバンクの外貨金利市場戦略担当部長のニコライ・ミンコ氏は「12月にインフレが3.2~3.7%の予測下限に近づき、リスク処理と金融市場の反応が見られない場合には、中銀は金利を最大6%にまで下げる可能性もある」と述べている(「ベドモスチ」紙10月25日)。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

ビジネス短信 4a738581fd110c41