香港で区議選投票実施、過去最高の投票率、民主派が圧勝

(香港)

香港発

2019年11月27日

香港で11月24日、区議会(地方議会)選挙の投票が行われ、民主派が385議席と定数452議席のうち85%を獲得し圧勝した(注1)。建制派(親中派)は59議席にとどまり、投票前の292議席から大幅に減少した(表参照)。

表 主要政党獲得議席数

「逃亡犯条例」改正案を契機に始まった、一連のデモ活動に対する香港特別行政区政府(以下、香港政府)や警察の対応への不満、また反中感情が高まる中、民主派の歴史的な勝利となった。一部の選挙区(大埔区、黄大仙区)では、それぞれの議席定数である19議席、25議席を全て民主派が獲得し、文字どおりの大勝となった。

香港政府が発表した速報(11月25日時点)によると、投票率は71.2%。18歳以上の選挙登録者(注2)413万人中、294万人が投票し、投票率、投票者数とも過去最高となった。また、新規選挙登録者のうち、18歳から35歳の若年層が48%を占めたとされており、これまで投票に行ったことのない若者が数多く選挙に足を運び、結果に一定の影響を与えたとみられる。

区議会選挙は、立法会(国会に相当)や香港政府トップである行政長官(首相に相当)の選挙と異なり、全ての選挙区において議席を直接選挙で選ぶ、香港で最も民主的な選挙だ。今回のデモ開始後初めての選挙となり、全選挙区で選挙が実施される(無投票当選がなく、全選挙区に複数候補者が立候補する)点でも注目されていた。

民主派が大勝したことを受け、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は「政府は市民の意見に耳を傾け、真摯(しんし)に反省する」との声明を発表した。今後、政府がどのように民主派運動へ対応していくのか、また今回の結果が、2020年に控えた立法会議員選挙や、2022年の行政長官選挙にどのような影響を与えるのかに、引き続き市民の関心が集まっている。

(注1)報道によって、中間派の扱いが異なり、民主派の獲得議席数を388とする報道もある。

(注2)香港では、18歳以上が有権者となり得るが、日本と異なり自ら登録しないと有権者にはなれない。

(渕田裕介)

(香港)

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