ジュネーブ州、自動車の排ガスレベルによる乗り入れを規制

(スイス)

ジュネーブ発

2019年11月12日

スイスのジュネーブ州政府は11月6日、大気汚染レベルが上昇した場合に、市街中心域での環境負荷の高い自動車の乗り入れや移動などを制限できるよう、ステッカー「Stick’AIR」により自動車の環境負荷を識別することなどを盛り込んだ条例を承認した(添付資料参照)。2020年1月15日から施行され、商品輸送車両には2年の移行期間が設けられる。スイス連邦では2019年6月に、大気、土壌などの環境の汚染、食品安全、廃棄物の適正な処理などに対して広範な対策を取ることを可能とする環境保護実施法の改正法が施行されており、今回の条例は同法に基づくものだ。

条例では、自動車の排ガス量の度合いを、例えば電気自動車(EV)がクラスゼロ、ハイブリッド車やガソリン車EURO6適合車がクラス1、ディーゼル車EURO6適合車がクラス2のように6段階定めており、自動車の管理者に対して、それぞれのクラスを示すステッカーの添付を求めている。

このステッカーによる交通規制は、次のように行われる。大気汚染レベルを規制不要レベルから最も厳しい規制レベルまで4段階に設定し、規制が必要なレベルに上がった場合には、その程度に応じて警報(アラート)が発せられ、規制のレベルに応じて排ガス量の多いクラスのステッカーが貼られた車(ステッカーのない車を含む)について、午前6時から午後10時までの間、市街地中心など指定地域への乗り入れや移動が禁止される。乗り入れ可能なクラスの自動車も、指定域内を運転する最高速度が時速80キロ以下に制限される。

また、規制レベルの2段階目の警報が発令された場合、交通混雑を避けるため、ジュネーブ都市交通(TPG)の利用が無料となる。「トリビュン・ド・ジュネーブ」紙(11月6日)によれば、このコストは1日当たり16万スイス・フラン(約1,744万円、1フラン=約109円)と見積もられている。

ちなみに、フランスでは、同様のステッカー「Crit’air」による自動車乗り入れ規制が、パリなどの都市を中心に2017年1月から導入されている。

(和田恭)

(スイス)

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