日本・カンボジア官民合同会議で配当追加税撤廃を表明

(カンボジア)

プノンペン発

2019年11月25日

11月7日に第18回日本・カンボジア官民合同会議がプノンペンで開催され、カンボジア政府側からQIP認可企業(注1)の本国への配当送金に対する追加税を撤廃することが表明された。QIP認可企業は従来、各種の免税措置が優遇されるが、配当に対しては法人所得税と同率の20%の追加税が課され、QIP認可のメリットが阻害されていた。

隣国のタイでは以前から、タイ投資委員会(BOI)から認可を受けた企業の配当に対しては、法人所得税および源泉徴収税が免除されている。カンボジア日本人商工会(JBAC)は長年にわたり、配当追加税の撤廃を要請していた。今回、政府側から「追加税撤廃」を次年度予算(2020年1~12月)に織り込むことの明言があったことで、QIPのメリットがさらに魅力的なものになると期待される。

官民合同会議は、カンボジア政府とJBACが年間1~2回開催し、投資環境改善に向けてカンボジア政府と在カンボジア日系企業が交渉する会議だ。今回はカンボジア側からソクチェンダ首相補佐特命相兼カンボジア開発評議会(CDC)事務局長をはじめ各省庁の代表者が、日本側から在カンボジア日本大使館の三上正裕大使、JBACの山崎格正会長ら関係者が多数出席した。

今回審議された議題は8つの重要案件を含む21案件で、電力の安定化と料金引き下げ、年功補償制度(注2)の見直し、税制面では前払い法人税・ミニマム税の運用見直し、物流面では通関の迅速化など多岐にわたる。未解決の案件も多く、次回(2020年2月)に向けて、省庁との個別対話などを継続することになる。

(注1)QIPとは投資優遇措置案件で、認可されると法人税、輸入関税、付加価値税が一定期間免除される。対象業種は主に製造業、農業、林業、また大規模商業など。

(注2)年功補償制度については2019年6月21日記事参照

(脇坂敬久)

(カンボジア)

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