欧州投資銀行の支援で3カ国がアフリカ貿易保険機構に加盟へ

(カメルーン、トーゴ、ニジェール)

アビジャン発

2019年11月29日

欧州投資銀行(EIB)とアフリカ貿易保険機構(ATI)は11月11日、南アフリカ共和国のヨハネスブルクで開催されたアフリカ開発銀行(AfDB)主催「アフリカ投資フォーラム」(2019年11月22日記事参照)で、カメルーン、トーゴ、ニジェールのATI加盟を支援する覚書に署名した(「Agence Ecofin」11月21日)。ATI加盟には、出資金の払い込みが義務付けられており、EIBは譲許的融資を通じて、これら3カ国の出資金を負担する。

EIBのアンブロワーズ・ファイヨル副総裁は、持続可能な開発において投資保険の果たす役割は大きいとして、「覚書の署名によりこれら3カ国は、ATIの加盟国としての待遇を享受し、各国それぞれの投資拡大に寄与する」と期待を示した。

ATIは、アフリカ向け民間投資の拡大を目的として、世界銀行の支援により2001年に設立された国際金融機関。現在、アフリカ15カ国が加盟している。アフリカでビジネスを行う民間企業向けに投資保険、輸出信用保険などを提供している。資本金は2億ドル。2018年末時点で、アフリカ全体で455億ドル相当の貿易・投資を支援しており、対象分野は農業、エネルギー、製造業、インフラ整備、鉱業、電気通信など多岐にわたる。

ATIの保険対象国となるには、ATIに出資していることが条件になる。特にカントリーリスクに関わる保険については、リスクが顕在化して保険金が支払われた場合、ATIは当該国の出資金を担保として資金を回収する手段を有している。ATIは10年以上にわたり、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の財務基盤および信用格付けにおいて「A/安定的」を維持しているほか、2019年にはムーディーズの保険財務能力が「A3」と格付けされた。

なお、日本の輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)は8月27日、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の開催に合わせて、ATIとの間で協力覚書を締結した。NEXIとATIは、日本の民間企業や投資家向けに個別サポートを提供するため、ケニア・ナイロビにあるATI本部にジャパンデスクを開設する予定だ。

(渡辺久美子)

(カメルーン、トーゴ、ニジェール)

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