長期化の兆し呈すボリビア大統領選をめぐる混乱

(ボリビア)

リマ発

2019年11月08日

ボリビア最高選挙裁判所(TSE)が10月25日に発表したところによると、10月20日に実施されたボリビアの大統領選挙では、現職のエボ・モラレス大統領率いる社会主義運動党(得票率47.08%)が、2位のカルロス・ディエゴ・デ・メサ氏率いる市民共同体連合(36.51%)を抑え、勝利を収めた。ボリビアの憲法では、1回目の投票で当選するには、51%の得票率の確保、または同40%以上で2位と10ポイント以上の差をつける必要があると定められており、今回は10.57ポイントの差がついた。

一方で、今回の結果には、開票における得票率の操作の疑惑が生じている。開票率89.34%の段階で、TSEが発表したモラレス大統領とメサ候補の得票率は、それぞれ45.28%と38.16%で、12月の決選投票実施が見込まれていた。しかしその後、TSEの開票中継が24時間中断され、開票率95%を過ぎた時点で開票中継が再開されたが、モラレス大統領の得票率が46.86%、メサ候補が36.72%と両者の差が開いた。選挙監視団を派遣していた米州機構(OAS)も、ツイッターで中継中断への懸念を表明し、民意の尊重と透明性の確保を訴えたが、モラレス大統領は勝利宣言を行った。

このため、労働者や農業従事者を中心としたモラレス支持派と、市民団体、野党支持者や学生などを中心とした反モラレス派との間で、衝突が一部の地域で起き、一部では死者まで出る事態に至っており、11月7日時点での死者数は3人との報道がある。

現地の日系企業によれば、一部の地方で暴力的な抗議行動が発生し、ラパス(注)では政府建物周辺での抗議活動があるものの、企業活動への大きな影響はないとのことだ。また、人口の最も多い都市であるサンタクルス市在住の日本人によれば、同市ではモラレス大統領当選後から、市民団体が無期限ストへの突入を宣言しており、これが長期化するようであれば、市民生活への影響も出かねないという。また11月4日には、市民団体であるサンタクルス市民委員会(Comité pro Santa Cruz)のルイス・フェルナンド・カマチョ代表が、モラレス大統領への辞任勧告状を手交するためにラパスに向かったが、それを阻止しようとするモラレス支持派と警察隊との間での衝突が起きるなど、両者の対立が収束する見通しは立っていない。

ボリビア国家統計庁(INE)は、10月30日に2019年第2四半期のGDP成長率を3.13%と発表、第1四半期の3.44%を下回った。混乱の長期化で、さらなる経済の停滞が懸念される。

(注)ボリビアの憲法上の首都はスクレだが、立法府や行政機関の集まるラパスが実質的な首都機能を持っている。

(設楽隆裕)

(ボリビア)

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