ドゥテルテ政権、3年で約9,000人の警察官を処罰

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月12日

フィリピン内務自治省は10月30日、ドゥテルテ政権が始まった2016年7月から2019年9月までに、フィリピン国家警察が9,172人の警察官を処罰したと発表した。そのうち51%に当たる4,721人が停職処分、31%に当たる2,806人が免職処分となった。そのほか、762人(8%)が懲戒処分、535人(6%)が降格処分、208人(2%)が罰金処分だった。

内務自治省のエドゥアルド・アニョ長官は、国家警察の汚職を撲滅し、その組織文化とイメージを変えるために不断の努力を続ける、と主張した。国家警察は10月、違法薬物の横流しに関与した警察官をかばったとして、アルバヤルデ前国家警察長官が辞任したばかりだ。

アニョ内務自治省長官は、新しく国家警察長官に指名されたアーチー・ガンボア氏が国家警察の汚職撲滅を大きく進めるだろう、と自信をのぞかせた。

ドゥテルテ大統領は2016年6月の就任演説で、汚職撲滅と麻薬の取り締まり強化を宣言。以来この3年間で一定の成果を挙げたことにより、2019年5月の中間選挙で圧勝する(2019年5月15日記事参照)など、警察組織の体制改善によって治安は改善したことで、国民から高い支持を得ている。

ジェトロが実施した「2018年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、ドゥテルテ政権が注力する治安対策により、フィリピンの投資環境上のリスクとして「不安定な政治社会情勢」を挙げる日系企業の割合は、2017年が56%だったのが2018年は45%に減少しており、治安への懸念は和らいできていることが分かる。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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