EU、WTOでフィリピンの豚肉禁輸が不当と主張
(フィリピン)
マニラ発
2019年11月25日
WTOは11月9日、11月7日から8日にかけて開催された衛生植物検疫措置に関する委員会(SPS委員会)の結果をウェブサイトに発表し、フィリピンによるEU諸国の一部の国からの豚肉の禁輸措置が不当なものだ、とEUが主張したことを明らかにした。
フィリピン政府は、EU諸国の一部の国におけるアフリカ豚コレラの発生を理由に、豚肉の輸入を禁止している。現在、禁輸措置の対象となっているEU諸国は、ベルギー、ブルガリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、ラトビア、ポーランド、ルーマニアだ。
EUはSPS委員会において、ドイツはこれまでアフリカ豚コレラが発生したことがなく、チェコは18カ月以上アフリカ豚コレラの発生が確認されていないとした上で、「フィリピンによる禁輸措置は国際的な基準に沿ったものではなく、科学的に立証されていない不当なものだ」と主張した。
フィリピン政府はEUの主張に対して、フィリピン政府はアフリカ豚コレラに関する科学的な公表資料や、国際獣疫事務局の発表資料に基づいて検証し、禁輸措置を行っており正当なものだと反論した。また、ドイツからの豚肉の禁輸措置は、同国がアフリカ豚コレラの発生が続くポーランドの豚肉と混載した船舶で、フィリピンに同国産豚肉を輸送したため講じた措置で、ドイツ側も非を認めているとした。
フィリピンにおいても2019年9月、国内で初めてのアフリカ豚コレラの発生が確認され、10月12日までに1万2,000頭の豚からアフリカ豚コレラの感染が確認された。フィリピン食肉加工協会は、アフリカ豚コレラの拡大によって、ハム、ベーコン、ソーセージといった豚肉加工製品の売り上げが年間400億ペソ(約840億円、1ペソ=約2.1円)減少すると説明している(2019年10月25日記事参照)。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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