9月の自動車販売、祝祭シーズンの特需によりやや回復
(インド)
ベンガルール発
2019年11月14日
インド自動車工業会(SIAM)は10月12日、9月の自動車統計を発表した。乗用車販売台数〔スポーツ用多目的車(SUV)とバンを含む〕は、前年同月比23.7%減の22万3,317台にとどまり、11カ月連続の減少となった。一般乗用車は前年同月比33.4%減の13万1,281台、バンは42.7%減の1万411台と大きく落ち込んだ。一方、SUVは5.5%増の8万1,625台と6カ月ぶりのプラス成長に転じた。9月は、前年から続く景気減速や金融機関の流動性不足などの要因に加え、マハーラーシュトラ州、ウッタル・プラデシュ州などの主要州における洪水の影響により販売低迷が続いているが、7月(20万790台)や8月(19万6,524台)と比較すれば、若干の回復の兆しも見え始めている。
メーカー別の乗用車の月間販売は、首位のマルチ・スズキが前年同月比27.1%減の11万454台、2位の現代自動車は14.8%減の4万705台と大幅減を続けている(表1参照)。一方、新型SUVの好調な売れ行きを背景に新興の起亜自動車やMGモーターに加え、ルノーも堅調な販売を見せた。主要メーカー13社のうち9社が2桁減少となったが、SIAMによると、「消費者の好みは小型SUVに移行しつつある」とのことで、今後も同セグメントの販売は伸びていくとみられる。
二輪車全体の販売台数は前年同月比22.1%減の165万6,774台にとどまり、10カ月連続の減少となった。うち、スクーターは16.6%減の55万5,829台、オートバイも23.3%減の104万3,624台と、引き続き2桁台の減少となった。メーカー別では、主要メーカー8社のうち、スズキを除く7社がマイナスとなった(表2参照)。
商用車と三輪車を含む9月の自動車販売は、前年同月比22.4%減の200万4,932台だった。SIAMは「祝祭シーズンの特需により、7、8月に比べて各部門の9月の販売台数は回復している。10~12月も販売の回復は期待されるが、経済低迷が長引く中で消費者心理は冷え込んだままだ」との見方を示している。
2019年度上半期(4~9月)の販売では、乗用車が前年同期比23.6%減、二輪車が16.2%減、商用車が23.0%減となっており、通年では自動車市場が5年ぶりに前年割れとなる可能性が高い。
(ディーパック・アナンド)
(インド)
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