10月の月間インフレ率、21年ぶりの低水準に
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年11月20日
ブラジル地理統計院(IBGE)は11月7日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の10月の上昇率を0.10%と発表した。9月のマイナス0.04%より高いが、10月の数値としては1998年以来21年ぶりの低水準だった。2019年1~10月累計では2.60%、直近12カ月で2.54%の上昇率となった。
ブラジルのインフレ率は、2015年(1~12月累計、以下同じ)に10.67%と2002年以来の高水準を記録した。2016年に発足したミシェル・テーメル政権では、同年末のインフレ率は6.3%まで下がって沈静化した。2018年6月にはトラック運転手のストの影響で物価が高騰したが(2018年7月12日記事参照)、最終的には通年で3.7%に落ち着いている。2019年1月に発足したジャイール・ボルソナーロ政権下でのインフレ率は、政府のインフレ目標値である5.25%から2.75%の水準に収まることが見込まれている。
中央銀行フォーカスレポート(11月4日付)による市場関係者の予測では、2019年のIPCA上昇率は3.29%、2020年は3.60%、2021年は3.50%が見込まれている。11月7日付の経済省経済政策局マクロ財政報告書によると、第1四半期(1~3月)に上昇した食品分野の価格が第2(4~6月)および第3四半期(7~9月)は低下しており、2019年の上昇率は4%未満を見込んでいる。
10月のインフレ率低下に最も寄与したのは、世帯向け電気代で3.22%減だった。これは、主力電源である水力発電所の水位が上昇し稼働率が上がったこと、これに伴う火力発電所の稼働率低下によって、電力料金単価が下がったのが要因。住宅関連は下落幅が最も大きく0.61%減だった。これに加えて、家庭用品(0.09%減)、通信(0.01%減)の下落が目立った。反対に価格上昇が目立ったのは、衣類(0.63%増)、医療(0.40%増)、輸送(0.45%増)などで、輸送関連の上昇はガソリン価格上昇(1.28%増)が影響した。食肉価格も1.77%増と価格上昇が目立った。
(大久保敦)
(ブラジル)
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