バビシュ首相が初来日、安倍首相と日本企業に投資先としてのチェコをアピール

(チェコ)

プラハ発

2019年11月06日

「天皇即位礼正殿の儀」に参列するため来日したチェコのアンドレイ・バビシュ首相は10月24日、安倍晋三首相と会談した。バビシュ首相の来日は初めてだが、両首脳の会談は2018年10月のアジア欧州会議、2019年4月のV4(ビシェグラード4カ国:ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)・日本首脳会議(2019年4月26日記事参照)の場以来3度目だ。

バビシュ首相は「日本はチェコにとって経済面で非常に重要なパートナーかつ投資国と認識している。チェコには日系企業266社が進出しており、そこで約5万1,000人が雇用されている」と述べた。

首相はまた、2020年の「日・チェコ交流100周年」の機会に、安倍首相をチェコに招待し、両国の戦略的パートナーシップを締結したいと述べた。協力分野として、インダストリー4.0の導入、人工知能(AI)の活用、ハイテク部門への投資などを挙げた。

バビシュ首相は日本の企業関係者とも会談した。23日には東京臨海副都心で開催された東京モーターショーのトヨタ自動車ブースを訪れた。トヨタ自動車はチェコ・コリン市にグループPSA(フランス)と合弁で2002年にトヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)を設立しており、2018年11月には、2021年1月からTPCAをトヨタの欧州統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(本社:ブリュッセル)の完全子会社とすることを発表している(2018年12月5日記事参照)。トヨタ自動車代表との会談でバビシュ首相は、将来的な対チェコ投資計画や代替エネルギー車開発投資に関心を示した。

24日には、NECも訪問して同社の顔認証システムを見学し、「空港での搭乗手続きの迅速化に役立つ。この分野で協力の可能性がある」と述べた。

バビシュ首相は同日、経団連の代表者とも会談し、NECやトヨタの欧州拠点が英国にあることに言及して、「英国のEU離脱に関連した事業移転の検討に当たり、チェコは投資に最適の場だ。チェコは経済安定度が最も高い国の1つ」とアピールした。8月にスイスの世界経済フォーラムが発表した国際競争力ランキングでも、チェコは「マクロ経済の安定度」で141カ国・地域中で他の32カ国と並んで総合第1位となっている。

(中川圭子)

(チェコ)

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