トランプ米大統領が香港関連2法案に署名、中国側は反発

(米国、中国、香港)

米州課

2019年11月28日

トランプ米大統領は11月27日、「香港人権・民主主義法案(S.1838)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に署名し、同法案は成立した。また大統領は、催涙ガスやゴム弾などの群衆向け軍需品の香港警察への輸出を1年間禁止する法案(S.2710外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にも署名した。

香港人権・民主主義法案は、米政権に対して毎年、香港の高度の自治「一国二制度」が十分に機能しているかどうかを検証し、議会に報告することを義務付けている。検証に基づき、米国の法が定めた香港への優遇措置の妥当性を判断し、また、香港での人権弾圧に故意に関わったとみなされた人物に対し、制裁や渡航制限措置を科す権限を米大統領に与えている。

同法案は超党派の支持を得ており、上院では11月19日に全会一致で可決し、下院では20日に賛成417票、反対1票の圧倒的多数で可決していた。トランプ大統領はこれまで法案署名の意向を明らかにしていなかったが、法案が成立した場合、中国政府は強力な報復措置を取ると警告していた(2019年11月21日付地域・分析レポート参照)。

トランプ大統領は両法案への署名後に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「習近平国家主席と香港の人々への敬意を払って署名した。中国や香港の指導者や代表者たちが友好的に和解し、全ての人々にとって長期的な平和と繁栄につながることを願い、これらの法案は成立した」と述べ、中国側への配慮を示した。また、香港人権・民主主義法の一部の条項は外交政策に関する大統領権限の行使を妨げるものだが、大統領権限と同法律の各条項を整合的に扱うとした。

香港人権・民主主義法案を提出したマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)は「米国は、北京から香港への内政へのさらなる影響や干渉を阻止するための重要なツールを持った。香港人の長年の自由に対する米国の強力な支持を示すのに、この新しい法律ほど時宜を得たものはない」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

一方、中国外務省は11月28日に、同法の成立に対し「中国政府と人民は断固反対する」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米中の貿易摩擦をめぐっては第1弾の合意を目指しているが、同法の成立により、米中協議が難航するのは必至とみられる。

(中溝丘)

(米国、中国、香港)

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