欧州中銀、政策理事会で政策金利を据え置き

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2019年10月25日

欧州中央銀行(ECB)は10月24日、フランクフルトで開催された政策理事会後の記者会見で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ備え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。据え置き期間についても、「物価上昇率が2%未満かそれに近い水準に十分に近づき、物価上昇基調に持続的に反映されるまで」として、具体的な期間に触れない立場を堅持した。

また、9月の政策理事会後の発表と同様、ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)を月額200億ユーロ規模で11月1日から再開し、緩和政策の効果を高めるために「必要な限り」継続することを確認するとともに、金利の引き上げ開始前まで継続するとした(2019年9月13日記事参照)。APPの下で購入し保有する債券・国債の再投資については、主要政策金利の引き上げ開始以降まで続ける方針をあらためて示した。

マリオ・ドラギECB総裁は記者会見で、ユーロ圏を取り巻く今後のリスクについて、「依然として下振れ傾向にある」と指摘。背景として、地政学的要因や保護主義の台頭、新興市場における脆弱(ぜいじゃく)性などの要素に起因する不確実性が続いていることを挙げた。

11月1日からクリスティーヌ・ラガルド新総裁が着任

ドラギ総裁は2011年11月に就任し、10月末に退任する。2012年には「ユーロを守るために何でもやる」と宣言し、ユーロ圏の崩壊を防いだと評価される一方、任期中は主要政策金利を一度も引き上げず、ECBが掲げるインフレ目標の達成は実現できなかった。ドラギ総裁は24日の会見の中で、ECBが推し進める超低金利やマイナス金利による意図しない影響に引き続き注視していくとした上で、これらの金利政策が融資拡大を通じて経済を刺激し、雇用増加を支援したとして成果を強調した。11月1日からはフランス出身でIMF専務理事を務めたクリスティーヌ・ラガルド氏が引き継ぐが、現行の金融緩和方針について理事会内でも賛否が分かれるなど、難しいかじ取りを迫られる。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

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