日本企業との連携に期待、民間企業がTICAD7に積極参加

(チュニジア、日本)

パリ発

2019年10月08日

チュニジアは8月28~30日に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に、ハマイエス・ジヒナウイ外相が率いる公式代表団を派遣した。日本の外務省の発表(8月28日)によると、同外相は28日に河野太郎外相(当時)と会談し、ベンナラス県ラデスの火力発電所、スファックスの淡水化施設の建設など長年にわたる日本の協力を高く評価した。また、同外相と山田賢司外務大臣政務官(当時)は、日本政府によるチュニジアへの3億円の寄付援助に関する覚書に調印した。国境などでの顔認識技術などを使用した監視システムの構築による治安強化に投じられる予定だ。29日には横浜で、チュニジア外国投資振興庁(FIPA)主催のチュニジア・ビジネスフォーラムが開催され、100人近い入場者を集めた。また、FIPAとジェトロはTICAD7を機に、相互協力に関する覚書を締結した。

チュニジアは日本への渡航に際して査証が免除される数少ないアフリカの国で、TICAD7には民間からも多くが参加した。日・チュニジア商工会議所のヘディー・ベンアベス会頭や、メカトロテック産業クラスターのノベーション・シティーのヒシェム・トゥルキ最高経営責任者(CEO)も参加するなど、日本企業との連携に向けた積極的な関与がうかがえた。ジェトロは9月13日、元大統領経済顧問で日・チュニジア商工会議所のベンアベス会頭にTICAD7の参加目的を聞いたところ、チュニジア企業の連携相手となる日本企業を発掘すること、マッチング・プラットフォームや展示会などのサイドイベントを通じて日本企業と直接コンタクトを取ることを挙げた。日本企業との付き合いが長い同氏は、面談相手の9割以上からフィードバックがあり、既にチュニジア訪問を計画する企業もあるなど、具体的な成果が出ていると語った。また、日本企業の印象について聞くと、これまでの消極的とも映る慎重な態度から一転し、積極性や迅速な対応が印象的だと答えた。

ジェトロが主催した「日本・アフリカビジネスフォーラム」や「アフリカ・日本スタートアップピッチ」などに登壇したエノバ・ロボティックスのアニス・シャバニCEOはジェトロのインタビューに対し、「3日間にわたる日本企業との交流を通じて、日本企業は新規投資に慎重で少額投資を行いながら長期的可能性を探ろうとする特徴があると把握できた」と答えた。また、当初念頭になかったアフリカ企業同士の交流やビジネス機会の把握はTICAD7の成果として大きく評価したいと語った(9月11日)。

(渡辺智子)

(チュニジア、日本)

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