大統領選挙戦の最終週に突入、挽回目指すマクリ大統領

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月23日

10月27日のアルゼンチン大統領選挙を前にした選挙戦最後の週末、マウリシオ・マクリ大統領は首都ブエノスアイレスで選挙集会や討論会を開いた。8月11日に実施された大統領選挙の予備選挙での大敗からの挽回を目指し、都市部の浮動層を中心に支持を訴えた。

9月28日から国内30カ所で展開した選挙キャラバンから首都に戻ったマクリ大統領は、10月19日にブエノスアイレスの目抜き通り「7月9日通り」で、支持者など約46万人を集めた大規模集会を開催した。国旗を振りかざす参加者を前にして、マクリ大統領は「今回の選挙は、今後もアルゼンチンが自由と正義を維持し続けるのかが問われている」と強調し、強権的な政策運営で汚職にも手を染めていたとされる前政権(現野党陣営)への回帰に警戒感を持つ浮動層に支持を訴えた。

写真 マクリ大統領の大規模集会(10月19日、ブエノスアイレス市内)(ジェトロ撮影)

マクリ大統領の大規模集会(10月19日、ブエノスアイレス市内)(ジェトロ撮影)

10月20日には、ブエノスアイレスで、「治安」や「雇用」「生産・インフラ」「連邦制」「行政機関の質・連邦政府の役割」「社会開発」「環境・住居」をテーマにした第2回大統領候補討論会が開催され、6候補が参加した。2時間強におよぶ討論では、再選を目指すマクリ大統領と、政権奪還を目指す野党・ペロン党のアルベルト・フェルナンデス候補(元首相)が互いを批判するなど、前回の討論会より議論が先鋭化した。

フェルナンデス候補は、失業率の悪化や貧困率の上昇などを挙げて、マクリ政権の実績を批判。貧困と飢えの解消を目指すとともに、住宅省の創設を通じた住居の提供にも触れ、それによる経済の活性化などを訴えた。

一方、マクリ大統領は、ペロン党支配の前政権からの改善点として、国内の道路や空港施設のインフラ整備や、入札の透明化の実績をはじめ、麻薬マフィアや汚職へ厳然とした姿勢を貫いたことを強調した。フェルナンデス候補に対しては、前政権で首相という中枢にいながら、複数の関係者が汚職に関わっていたことを本当に知らなかったのか、という疑念を呈した。

最新の各種世論調査では、フェルナンデス候補が引き続きマクリ大統領に対して16~23ポイント差の優勢が伝えられている(表参照)。

表 現地調査会社の世論調査(本選挙時の投票先)

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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