2018年の政府調達、省エネ製品や中小企業からの調達が進む

(中国)

北京発

2019年10月01日

財政部は9月6日、2018年の全国政府調達額が前年比11.7%増の3兆5,861億4,000万元(約53兆7,921億円、1元=約15円)に達したと発表した。伸び率は前年の24.8%に比べ13.1ポイント縮小した。政府調達額のGDP比は4.0%だった。内訳は、工事関連が3.3%増の1兆5,714億2,000万元、サービスの調達が35.7%増の1兆2,081億9,000万元、物品の調達が0.8%増の8,065億3,000万元となった。

有識者によると、政府調達の伸びが減速した主な要因は、「三公経費」(公務海外出張、公務接待、 公用車の購入・維持)支出の削減、減税などによる財政収入減少に対応した財政支出の伸びの減速、「放管服」(行政簡素化と権限委譲、監督管理の強化、サービスの最適化)改革の推進などとされている(「中国政府調達報」9月16日)。

財政部の発表では、政府調達政策は、省エネ・環境保護、中小企業、航空業などの発展を支援したとの見解が示された。環境に優しい製品の調達額は1,647億4,000万元となった。また、中小零細企業との契約金額は2兆7,488億6,000万元で、政府調達総額の76.7%を占めた。さらに、国内航空会社から購入した公用航空券の調達量は1,002万8,000枚、調達額は合計137億9,000万元と、前年と比べそれぞれ18.0%、20.1%増加し、国内航空会社の発展を支援した。

人民大学国家発展・戦略研究センターの王叢虎教授は「政府調達は省エネ・環境保護製品を生産する企業の発展を支援する有効な政策ツールだ。今後、省エネ製品の強制的な調達が主流となり、政府調達の唯一の選択肢になる」と予測した(「中国政府調達報」9月16日)。また、南京審計大学の裴育副校長は「『政府調達により中小企業の発展を促進する暫行弁法』には、中小企業に対する調達枠の配分、中小企業の参入障壁の引き下げ、連合体を組んでの入札参加の奨励など、中小企業の発展を促進する具体的な措置が明記されている。こうした政策面の要求および中小企業の自主的な行動により、毎年、中小企業が受注する政府調達額が増加していくことは当然なことだ」との見方を示した。

なお、中国日本商会が2019年6月に発刊した「中国経済と日本企業2019年白書」によると、外資企業は中国の政府調達への参入において、障壁に直面することが多いとされている。一方、2020年1月から施行される外商投資法の第16条では外資企業の公平な政府調達活動への参与を保障すると規定されており、実施細則の制定などの動向が注目されている。

(趙薇)

(中国)

ビジネス短信 dd84e16a0ef17c10