ロシア大統領が12年ぶりUAE訪問

(アラブ首長国連邦、ロシア)

ドバイ発

2019年10月23日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、10月15日にアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。同大統領のUAE訪問は、2007年の初訪問以来の2回目。前日14日にはサウジアラビアを訪問した。

プーチン大統領は、ムハンマド・アブダビ皇太子と会談し、政治、防衛、経済における両国の関心事項について協議した。特に経済分野では、経済担当者会議が開催され、エネルギー、貿易、投資、インフラ、輸送、観光、食料安全保障、技術などの分野における両国間の経済協力関係について議論した。また、エネルギー、航空、貿易投資など、さまざまな分野で多数の覚書が合意された。

中でも、エネルギー分野において多くの覚書などが結ばれ、アブダビ国営石油会社(ADNOC)はルクオイル(Lukoil)にガーシャガス田の5%の権益を授与した。ロシアのエネルギー企業が、アブダビの石油開発・生産事業に参画するのは初めて。さらに、ADNOCはロシアのガスプロムネフチと包括的枠組み合意に署名し、探査、生産、人工知能(AI)などの新技術についての連携を検討していくという。

投資分野では、アブダビ政府系ファンドのムバダラ開発公社が、ロシア直接投資基金(RDIF)と、2013年から始まった70億ドルの共同投資プラットフォームの一環として、ロシアの重要セクターである先端技術、AI、ヘルスケア、運輸、物流などで6件の新たな協力合意を発表した。RDIFはドバイ投資公社(ICD)とも新たに、相互に有益な投資機会を探求するための協力協定に署名し、両国での投資機会を検討するための共同投資プラットフォームを設立する。航空分野では、両国間の航路就航便・都市を拡大することが合意された。

またプーチン大統領は、9月にロシアの宇宙船ソユーズで、アラブ人として初めて国際宇宙ステーションに滞在したUAE人宇宙飛行士とも面会するなど、宇宙分野におけるUAEとの協力関係を継続する意向を示した。なお近年、UAEは宇宙分野を強化しており、大統領訪問の同日にUAEは国家宇宙戦略2030を発表している。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦、ロシア)

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