米製造業部門の景況感、2009年6月に次ぐ低水準を記録

(米国)

ニューヨーク発

2019年10月07日

米サプライマネジメント協会(ISM: The Institute for Supply Management)の発表(10月1日)によると、9月のISM製造業景況指数は、8月の49.1より1.3ポイント減の47.8となった(図参照)。同指数は6カ月連続で前月比減が続き、2009年6月の46.3に次ぐ低水準を記録した。拡大局面を示すベースラインの50を2カ月連続で下回るのは、2016年2月以来3年7カ月ぶり。

図 ISM製造業景況指数の推移(2008年1月~2019年9月)

ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は「全体として、9月は短期的な成長に対して(企業の)マインドは引き続き慎重なままだった」と述べた。特に、海外需要を示す輸出向けの新規受注指数(41.0)が2カ月連続で低下し、2009年3月(39.4)以来10年半ぶりの低水準となっており、「(景況感にとって)世界貿易は引き続き最も重要な問題だ」と指摘した。調査回答者からも、業況悪化や追加関税による影響を指摘する声が聞かれている。

表 2019年9月調査における回答者からのコメント

18業種のうち15業種が「減速」と回答

業種別にみると、18業種のうち15業種が「減速」と報告した(アパレル・皮革製品、出版・同関連サービス、木材製品、電気機器・家電・同部品、繊維工業、紙製品、加工金属製品、プラスチック・ゴム製品、石油・石炭製品、一次金属、輸送用機器、非鉄製品、機械、家具・同関連製品、コンピュータ・電子製品の順)。一方で、「拡大」と報告した業種は、その他製造業、食品・飲料・たばこ製品、化学製品の3業種にとどまった。

製造業の生産活動を示す生産指数は前月(49.5)より2.2ポイント低下の47.3、景況の先行指標である新規受注指数は0.1ポイント上昇(8月:47.2)の47.3、労働市場の現況を示す雇用指数は1.1ポイント低下(8月:47.4)の46.3となり、いずれも2カ月連続で拡大局面を示す目安となる50を下回った。

米調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミストのジム・オサリバン氏は今回の調査について、「輸出(減)に主導された製造業の大幅な減退が続いており、経済が弱っている」と述べた(ブルームバーグ10月1日)。また、ドイツ銀行のチーフエコノミストのトルステン・スロック氏は、こうした製造業の弱さが今後「サービス業に広がることにならないか心配だ」と指摘した。非製造業企業の景況感(ISM非製造業景況指数)は、9月(52.6)に3年1カ月ぶり(2016年8月:51.8)の低水準を記録したものの、今のところ、目安となる50を上回った状態が続いている。

(権田直)

(米国)

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