欧州議会予算委員会、ノー・ディール時の次年度対策予算案を採択

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年10月15日

欧州議会予算委員会(BUDG)は10月14日、英国の合意なきEU離脱(ノー・ディール)に備えるための2019~2020年度の予算執行措置案を採択外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州議会は緊急対策のための2019年度予算執行措置案(2019年7月11日記事参照)を4月17日に採択したが、今回の予算案で対象を2020年度に拡大する。

ブレグジットに伴うEUプログラムの中断リスク緩和を狙う

EU基金を活用したプロジェクトによる財政支援などの受給者に対するノー・ディールの悪影響を抑えることが目的で、EU研究開発資金助成枠組み「ホライズン2020」や留学支援などEU教育助成プログラム「エラスムス・プラス(+)」、農業や地域開発政策などの財政支援プログラムが対象として想定されている。英国のEU離脱(ブレグジット)以降、これらEUによる財政支援プログラムの英国での受給者が中断に追い込まれないよう、2020年度まで財政支援を継続するための財源となる。ただし、EUはこの前提として、英国がEU予算の一部を担う財政負担を継続し、必要なEU側の監督・監査を受諾することを求めており、財政支援継続は「相互主義の原則」に基づくこととなる。

この措置の発効には10月21~24日にフランス・ストラスブールで開催予定の欧州議会本会議で採決による承認が必要だ。急を要する案件であり、英国が移行期間なくEUを離脱し、英国へのEU法の適用が停止された日から直ちに適用開始となる。

なお、欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は10月11日、英国のスチーブン・バークレイEU離脱相と会談。首席交渉官は日曜日の13日も実務者協議を続けたが、「依然として解決すべき課題は多い」とコメントしている。実務者協議は14日も引き続き行われ、結果は15日に27カ国で開催されるEU基本条約第50条(加盟国の離脱)に関する一般問題理事会(ルクセンブルク)の場で報告される予定だ。同理事会は17日からブリュッセルで開かれる欧州理事会(EU首脳会議)に向けた最終準備の場となる。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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