2020年から小学生に無料朝食を提供、日本の給食を手本に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年10月01日

マスズリー・マリック教育相は8月26日、2020年1月からマレーシア全国の公立小学校に通う小学生270万人に、朝食を無料で提供することを発表した。同相は「栄養バランスのとれた朝食を成長期の小学生に提供し、健康的な食習慣をつけることを狙う」と説明した。政府は同プログラムについて、年間20億~30億リンギ(約520億~780億円、1リンギ=約26円)の支出を見込む。

朝食の無料提供は、2018年11月に同相がマハティール・モハマド首相と訪日した際、東京都の小学校で日本の学校給食システムを視察したことがきっかけとなったようだ。

小学生、低所得層の子供のそれぞれ約3割が朝食を抜く傾向

マレーシアは、ASEAN諸国において子供の肥満率が最も高い国といわれる一方、体重不足あるいは発育不全の子供も少なくないという二重の課題に直面している。マレーシア栄養学会が2015年12月に発表した朝食と学習に関する調査によると、マレーシアにおける6~17歳の子供のうち、4人に1人が朝食を取る習慣がない。特に中学生(13~17歳、20.1%)よりも、小学生(7~12歳、31.9%)の方が朝食を抜く傾向が高い。また、朝食抜きの比率を所得層別にみると、低所得層が28.2%、中所得層が22.5%、高所得層が17.7%となった(図参照)。

図 朝食を抜いている子供の比率(6~17歳、所得層別)

保健省傘下の公共衛生研究所が2015年に発表した「国家健康・罹患(りかん)率調査(National Health & Morbidity Survey)」によると、18歳未満の約11.9%が「肥満」だった。民族別にみると、中華系が13.0%と肥満率が最も高く、インド系(12.6%)、マレー系(11.8%)が続いた。また、州・地域別でみると、クアラルンプールが19.4%で突出して高かった。他方、発育阻害の子供の比率は全国で13.4%だった。中でも、1人当たりGDPが低い傾向にある東海岸のクランタン州(18.2%)、パハン州(18.2%)、トレンガヌ州(18.1%)で深刻のようだ。

日本の制度に倣い、自立習慣を育む狙い

政府は、栄養バランスの良い食事の提供を通し、健康的な発育の支援を目指す。加えて、日本の給食制度に倣い、配膳から食後の片付けまで生徒自身で行うことで、自立した習慣を養うことも期待しているという。マハティール首相は日本や韓国などに学ぶ東方政策を再提唱しており、この計画も同政策の一環といえる。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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