廃プラスチックとコメを交換する自治体が増加

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月17日

フィリピンでは、廃棄されたプラスチックとコメを交換する自治体が増加している。マニラ首都圏モンティンルパ市のバヤーナンというバランガイ(注)では、2キロの廃プラスチックを1キロのコメと交換するプロジェクトを実施している。バヤーナン在住の49歳の男性は地元メディアに対して、「14キロの廃プラを集めたら家族の1週間の消費量に相当する7キロのコメと交換してくれた」とし、バランガイ長のアンドール・サンペドロ氏は「この取り組みはごみの正しい廃棄方法を住民に伝え、バランガイの浄化につながっている」とコメントした。

カガヤン・バレー地方のカワヤン市では、1キロの廃プラスチックを1キロのコメと交換するプロジェクトを8月から実施している。収集された廃プラスチックは椅子、机、ブロックを作るための材料として使用されている。カワヤン市職員は「廃プラスチックは本来1キロで7ペソ(約15円、1ペソ=約2.1円)にしかならないが、1キロのコメを支給することで貧困削減にもつながり、町の浄化によってデング熱などの発生も抑えられている」と説明した。フィリピンでは1キロのコメの小売価格は30~40ペソだが、1億700万人の人口の約2割は貧困ラインである1カ月1万2,000ペソの収入を下回っているとした。

カラバルソン地方のパグビラオというバランガイでは、3本の廃プラスチックボトル(500~700グラム)を1キロのコメと交換するプロジェクトを実施している。収集した廃プラスチックボトルを材料にしてエコブロックを製造し、フェンスを作っている。パグビラオでは、ごみや産業廃棄物の不法投棄が1つもないバランガイにするクリーンキャンペーンが実施されている。

国連環境計画(UNEP)の2015年発表の資料によると、フィリピンでは日量6,876トンのプラスチックが廃棄されており、うち81%が適切な方法で処分されていない。また、フィリピンでは、プラスチックの使用を規制、禁止する条例を出している自治体が全体4%に当たる58存在する(2019年10月3日記事参照)。

(注)バランガイ:市や町の下に位置付けられる最小自治単位。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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