87%の雇用者がテレワーク導入に賛成、28%の企業が既に導入

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月15日

フィリピンで在宅勤務やモバイルワークといったテレワークを推進、制度化する法律「民間セクターの労働者のためにテレワークを労働代替手段として制度化する法律PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、テレワーク法)」の施行細則PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が4月に発効したことに伴い、テレワークを導入する企業が増加している。

フィリピンの大手会計事務P&A Grant Thorntonのマリア・ビクトリア・エスパーノ最高経営責任者(CEO)は最近、地元メディアに対して「(テレワークは)フィリピンのひどい交通渋滞を避けることができ、より自由な時間が増え、生産性を高める効果もあり、多くの労働者に受け入れられつつある」とコメントした。アジア開発銀行(ADB)が9月に発表した資料によると、アジアの278都市の中でマニラ首都圏が最も交通渋滞が深刻な都市とされ(2019年10月3日記事参照)、国際協力機構(JICA)は、渋滞によってマニラ首都圏では毎日24億ペソ(約50億4,000万円。1ペソ=約2.1円)の経済損失が発生しており、2030年には60億ペソまで上がると試算している。

テレワーク法は全ての企業にテレワークを義務化するものではなく、労使双方の同意により、自主的に導入するものとしている。テレワーク法の施行細則は、テレワークをする労働者としない労働者の間で給与や休日、有給休暇、労働評価基準、トレーニング、キャリア開発などの面で格差をつけることを禁止し、テレワークをする労働者が企業のコミュニティーの中で孤立した存在にならないよう雇用者側に義務付ける。

フィリピン雇用者連合が2月から3月にかけて実施した調査によると、87%の企業の雇用者がテレワークの導入に賛成し、28%の企業が既にテレワークを導入していると回答した。導入済みの企業の21%がIT-ビジネスプロセス管理(BPM)、18%がコンサルタント、14%が貿易、11%が製造業、そのほか、NPOや金融機関、建設、運輸がそれぞれ6%だった。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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