第3四半期GDP成長率は前年同期比0.1%、前期に引き続き低調

(シンガポール)

シンガポール発

2019年10月23日

シンガポール貿易産業省(MTI)は10月14日、シンガポールの2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)は、前年同期比0.1%と発表した。過去10年で最も低い成長率だった前期(4~6月)から横ばいで推移し、低調だった。前期比は0.6%増で、前期(マイナス2.7%)から持ち直し、成長率が2四半期連続でマイナスとなるテクニカル・リセッション(景気後退)を回避した。

産業別にみると、製造業は前年同期比3.5%減で前期(3.3%減)から減少幅が拡大した(表参照)。また、前期比でも0.4%減と不調だった。同省によれば、エレクトロニクス、精密エンジニアリング、運輸エンジニアリングが減少し、好調だった化学、バイオ、一般機械の成長を打ち消したことを主な要因とした。建設業は、前年同期比が2.7%増で前期(2.8%増)よりわずかに鈍化した。サービス業は、前年同期比0.9%増にとどまった。金融保険やビジネス・サービスなどが下支えしたが、卸売りなどのセクターで落ち込んだ。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移

通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は同日、金融政策を緩和へ変更したと発表した。同庁は金融政策として、政策金利を設定しない代わりに、年2回(4月、10月)、シンガポール・ドルの変動幅を見直す「為替管理政策」を実施している。2018年4月、10月、2019年4月には、金融引き締め政策を実施、維持していたが、低成長が続いていることから、金融緩和に転換した。

(藤江秀樹)

(シンガポール)

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