工業連盟が新たな政策提言を発表、大統領選の候補に示す

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月10日

アルゼンチン工業連盟(UIA)は10月9日、次期政権下となる2020年から2023年を視野に置いた政策提言「生産性プラン20/23外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。10月27日に行われる大統領選挙を前にして、産業界からの要望を各候補者に示したかたちとなっている。

提言は「発展に向けたマクロ経済政策」と「産業政策」の2項目に分かれている。前者は、為替レートの安定や現地通貨での預金を促すような金利の設定、高付加価値の生産に対する諸税の払い戻しスキームの実現などを提案している。

後者では、労使関係の改善や新たな税制改正を要望した。ほかにも、生産性の高い投資に対する融資制度の設計、物流コスト改善のための港湾や鉄道、水路のインフラ整備、長期的なエネルギー政策などを提案した。

ディエゴ・コアツUIA専務理事は、現在のマウリシオ・マクリ政権がインフレ抑制の一環として採用している高金利政策が経済活動の足かせになっていると指摘している。また、高インフレは短期で解決する課題ではなく、年間インフレ率が10%程度に落ち着くには5年以上を要するとの見通しを示した。

ミゲル・アセベド会長をはじめとしたUIA幹部は既にこの提言を携えて複数の大統領候補と面談している。中でも、8月11日に行われた予備選挙で勝利した野党ペロン党急進派「すべての戦線」のアルベルト・フェルナンデス候補とは、10月2日にUIAが招くかたちで2時間にわたる会談を行った。UIAは与党候補のマウリシオ・マクリ大統領にも提言を示したい意向、と10月9日付「インフォバエ」紙が報じている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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