日本のインフラ技術に期待するASEAN、ジャカルタで写真展
(ASEAN)
ジャカルタ発
2019年10月23日
ASEAN日本政府代表部は、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)との共催で、「Bright Future Achieved by Quality Infrastructure in ASEAN-Connecting ASEAN-」と題する、日本との協力や連携で整備されたインフラプロジェクトについての写真展を10月18日から11月1日まで、インドネシア・ジャカルタのASEAN事務局で開催している。
10月18日には、本写真展の開催に先立ち、開会記念セミナーが開催され、日本の協力によるインフラのASEAN経済発展への貢献や企業の役割などが議論された。リム・ジョクホイASEAN事務総長は「2016年に採択された改定版『ASEAN連結性マスタープラン』(ASEAN Connectivity 2025)(注)を、日本の協力も得ながら着実に実行していきたい」と述べた。基調講演を行った広田幸紀埼玉大学教授は「アジア地域では2020年までに5,030億ドルのインフラ投資が必要だが、いまだに3,000億ドルほど不足している」とのアジア開発銀行(ADB)の報告を引用しつつ、「防災・教育・保健分野や都市大量輸送システムなど新たな需要も生まれつつある」と指摘した。その上で、「デジタル経済の重要性が増しており、それを支えるのが都市インフラ」だとし、「日本は自らの経験を踏まえ、東南アジアにおける都市インフラ整備に貢献できる」と、セミナーに出席した東南アジア各国関係者にアピールした。
またセミナーでは、ジャカルタで2019年4月から運転を開始したジャカルタ都市高速鉄道(MRT)のウィリアム・サバンダル社長が登壇し、MRTにおける日本の協力を紹介した。ウィリアム氏は「駅ナカ開発では、ローソンなどの日本企業もテナントとして協力している」とした上で、「関心のある日本企業がいたら教えてほしい」と、日本企業とのさらなる協業に意欲をみせた。
(注)2010年10月のASEAN首脳会議において、ASEAN域内におけるインフラ・制度・人の交流の3つの分野での連結性強化を目指した「ASEAN連結性マスタープラン」が採択された。2015年末のASEAN共同体の構築を受け、2016年9月のASEAN関連首脳会議では、「ASEAN連結性マスタープラン」の後継文書である「ASEAN連結性マスタープラン2025」が採択された。
(上野渉)
(ASEAN)
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